2018年度 活動レポート 第131号:弘前大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第131号

アジアの日降水量グリッドデータ(APHRODITE)の作成手法を学ぶ

弘前大学からの報告

さくらサイエンスプログラムには、2回目の応募で採択していただきました。本事業では、弘前大学理工学研究科において、平成30年8月21日~8月30日の間、ネパール(トリブバン大学・ネパール水文気象局)、インド(コーチン大学、地球科学省、インド熱帯気象研究所)、バングラデシュ(クルナ工科大学)、パキスタン(パキスタン気象庁)から合計12名を招へいし、アジアの日降水量グリッドデータ(APHRODITE)の作成手法等を学ぶワークショップ(WS)を実施しました。

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ガイダンス。後方で立っているのは、スタッフと学生

大学の教員になって3年目、授業がある時期は長期出張も難しく、途上国の研究者と協力・交流しながら研究を進めてきたこともあり、この度の滞在型WSへのご支援をいただけたことは、大変ありがたいことでした。研究室の学生たちも、交流を楽しみつつ協力してくれました。

採択通知をいただいてから事業実施までの期間が短く準備が大変でしたが、当方のスタッフや委託業務の担当者さんが相当頑張ってくれました。他にも、ご家族と一緒に来日を希望した方や、幼いお子さんを連れて来日することになった方もいらして、招へい者のプライベート面での調整も必要でした。特に大変だったことは、開催直前にインドで発生した大雨によりコーチン空港が閉鎖され、コーチン大学からの3名が予定通りに来られなかったことです。

APHRODITEという私が主に開発した降水グリッドデータ作成に関するWSは、これまで別経費により4回開催していたことから、マニュアルも計算プログラムもありましたので、上記の困難にもかかわらず、実習面では滞りなく進められました。以前開催したWSは3日間という限られた期間でしたので、コンピュータープログラミングやLinuxマシンに慣れていない若手研究者等が結果を出して帰っていただけるよう、我々が相当な準備を要しましたが、今回のさくらサイエンスWSは、若手研究者の研究交流を目的とし、時間的に余裕のあるプログラムでしたので、和やかな雰囲気で行うことができました。

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課題を出して様子をみているところ。手前はネパール気象庁からの参加者内で教えあっているところ

参加者たちは、10日間の間で交流しつつ計算も終了し、満足してWSを終えたようです。期間中は、WS後に市内散策をし、週末には、研究室の学生の案内で青森市を訪れました。私は一昨年ネパール調査に4名の学生を、去年もネパール国際会議やWSに2名の学生を連れて行っており、今回の参加者には、学生がネパールで交流した方が含まれていたので、若い世代の交流に繋がって嬉しく思います。

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ネパール気象庁およびトリブバン大学からの参加者。このうち3人は、去年会っていた人たち。
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インドからの参加者。コーチンの洪水で参加が遅れた学生2名も、チームワークですべての内容を習得。

また、最近、さくらサイエンスWS参加者1名と、5月に弘前で別途開催したWSの参加者1名から、弘前大学の大学院後期課程に入学したいのだけれど、奨学金等はないかという問い合わせを受けました。弘前には不便なこともあるけれども、豊かな自然に囲まれた弘前大学での生活に魅力を感じていただけたのかなと、嬉しく思っています。

最後に、本プログラムを支援してくださったさくらサイエンスプログラムに深く感謝申し上げるとともに、今後も、本事業がさらなる研究交流に繋がることを期待しております。

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全体集合写真。弘前大学理工1号館屋上。背景は岩木山。