2018年度活動レポート(一般公募コース)第118号
環境微生物を用いた都市廃棄物の省エネ・創エネ型処理による低炭素社会づくりに関する日中共同研究プログラム
東北大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援のもと、2018年8月17日から8月27日にかけて東北大学大学院工学研究科に厦門大学の大学院生・学部生の10名を招へいし(内5名は厦門大学の支援)、「環境微生物を用いた都市廃棄物の省エネ・創エネ型処理による低炭素社会づくり」をテーマとした共同研究プログラムを実施しました。
本プログラムでは土木工学専攻環境保全工学研究室で環境微生物技術を応用した省エネ・創エネ型排水・廃棄物処理に関する最先端の研究に触れるとともに、特色ある現場見学により日本の優れた排水処理・廃棄物循環・エコ環境技術の理解を通じて、厦門大学と東北大学の学術交流の促進を図りました。
東京成田空港で厦門大学の交流団体を出迎えた後、簡単なオリエンテーションを行いました。その翌日、東京農業大学の見学を行い、醸造環境科学研究室の蒋紅与先生により、バイオ燃料の生産技術に関する説明を受け、実験施設の見学を行いました。また東京農業大学の「食と農」の博物館を見学し、人間の食糧生産の歴史および微生物の活用技術について学びました。
3~4日目には仙台で東北大学環境保全工学研究室の実験室の見学を行い、環境保全工学研究室で行っている幅広い研究テーマについて説明し、実験室で稼働中のメタン発酵やAnammox方による排水中の窒素除去などの省エネ型排水・廃棄物処理装置の見学を行うことで、最先端の研究内容に触れるとともに、実験室施設の利用方法・安全管理体制を体験しました。
5日目と6日目に仙台市近郊の環境保全施設および沿岸の震災遺構および復旧工事の見学を行いました。仙台市南蒲生浄化センターでは東日本大震災よる被災および復旧状況、災害に強く、環境にも配慮した未来志向型の新規水処理施設の理念を学びました。ジェイネックスバイオプラントは食品残さなどの有機性廃棄物を資源として有効利用し、電気・ガス・たい肥等にリサイクルすることで循環型社会形成貢献している施設であり、環境と社会に配慮した理念は非常に勉強になったと皆さんが感想に述べていました。仙台湾沿岸の震災復旧工事の様子を見学する途中に日本三景松島にも立ち寄り、皆さんで絶景を楽しんでいました。
6~9日目は環境保全工学研究室が有する実験装置を用い「バイオエネルギー生産技術」、「省エネ型排水処理技術」、「微生物解析技術」について各自の関心に沿った共同研究を行い、環境微生物を用いた環境浄化技術の理解を深めました。
10日目は合同セミナーおよび交流成果発表会を開催し、東北大学と厦門大学との研究交流を行いました。合同セミナーおよび共同研究を通して、環境・エネルギー研究に関する視野を広げることができるだけでなく、日本と中国の学生・若手研究者間の交流を促進させることができました。交流成果発表会を通して、日本の生活や文化への興味を引き出し、再来日へのモチベーションを向上させることができました。
共同研究プログラムを実施する中で、厦門大学の学生たちの学術研究に対する関心の高さに深く感心しました。このような貴重な機会を提供して頂きましたさくらサイエンスプログラム、ならびに関係者の皆様に感謝致します。