2018年度活動レポート(一般公募コース)第113号
アジア圏の学生たちが佐渡島で海の生物多様性を学ぶ
新潟大学からの報告
日本海に浮かぶ佐渡島は、美しい海に囲まれ、豊かな自然と多様な海洋生物相に恵まれています。その佐渡島の環境を活かし、新潟大学理学部附属臨海実験所で海洋生物の多様性・進化について学ぶための国際プログラムを、2018年7月28日から8月1日までの5日間にわたって実施しました。同様のプログラムは3年前から行っていましたが、今年はさくらサイエンスプログラムの支援を受けたおかげで、インド・バングラデシュ・ベトナムなど主にアジア圏の計10大学から学生20名と教員5名を受け入れることができ、過去にもまして国際色豊かなプログラムになりました。
初日
日本海の特徴や動物分類学の基礎についての講義からはじまりました。参加者たちは東京からもほぼ1日かかる佐渡への旅の疲れも見せず、熱心に講義を聴き、質問も積極的にしていました。
2日目
ウニの採卵・人工授精を行って胚の初期発生を観察しました。一人ひとりが自分の手でウニから卵や精子を取り出して受精させることで、生命の不思議を実感していました。午後には臨海実験所のすぐ前の海でシュノーケリングを行い、ウミウシやカニ、ヒトデといった様々な動物を採集して観察しました。実際に自分で採集することで、それぞれの動物がどのような環境に生息しているのかを実感できます。また、夜には近くの砂浜で採集したウミホタルを使って生物発光について学び、みなウミホタルの幻想的な青い光に感動していました。
3日目
実験所の実習船に乗って、青空の下、透明度を測定したりプランクトンを採集したりしました。サンプルを実験所に持ち帰って顕微鏡で観察すると、いろいろなプランクトンを発見することができました。こんなにも多種多様な小さな生き物が海の中にいることに、参加者たちは驚いている様子でした。
4日目
再びシュノーケリングでの磯採集を行いました。2日目とは異なる場所で採集・観察を行うことで、海洋生物の生態に場所による違いや共通点が見られるかを確かめてもらいました。また、最後のまとめとして個人/グループでの発表会を行い、自分で描いたスケッチを使いながら採集・観察した動物について他の参加者全員に説明してもらいました。全員、堂々とした発表で、会場からも次々と質問が飛んでいました。翌日には修了式を行い、フェリーで新潟へ渡って東京へ移動し、各々帰国の途につきました。
5日間の短い間でしたが、教員による海洋生物についての様々な講義とフィールドでのアクティビティがぎっしりで、参加者間の交流も深まり、非常に有意義なプログラムとなりました。どの参加者からも、口々に「本当に楽しかった」「とても勉強になった」と言ってもらえ、企画した甲斐がありました。経費面でご支援いただいたさくらサイエンスプログラムおよび実際の活動にご協力いただいた多くの方々に心より感謝申し上げます。