2018年度活動レポート(一般公募コース)第112号
ベトナム国家大学ハノイ科学大学生の細胞工学・高分子化学に関する科学技術研修
北九州市立大学国際環境工学部
准教授 木原 隆典さんからの報告
2018年9月21日(金)から9月29日(土)までの日程で、ベトナム国家大学ハノイ校ハノイ科学大学生物学部の学生および大学院生5名と引率教員1名が北九州市立大学国際環境工学部に滞在しました。
北九州市立大学国際環境工学部では、先制医療工学の実現に向けて細胞工学・高分子化学を中心とした先制医療工学研究センターを設置しており、本事業では、ベトナムでの先制医療工学研究の定着を目指して、先制医療工学研究センターで実施している天然成分の抗腫瘍効果研究に関する科学技術の研修を行いました。
初日は、北九州市立大学に到着後、本技術研修の日程説明と関連する研究室・研究施設のラボツアーを行いました。
2日目は日本での研究生活・留学生活に関して、留学生TAより研修をしてもらいました。3日目から7日目は、動物細胞を用いた培養実習、土壌サンプルからの微生物DNAの解析実習、高分子複合体作製実習を行いました。
ベトナムでは細胞培養の設備が整っておらず、ハノイ科学大学生物学部の学生といえども実際に生きた動物細胞を扱うのは初めてとなります。そこで、ヒトのガン細胞と線維芽細胞を培養することで、両細胞の特徴や違い、また共培養した際の挙動などについて実習を行いました。
さらに、自分たちで培養した細胞を固定し、共焦点レーザー顕微鏡で細胞内分子の観察、走査型電子顕微鏡で細胞形態や細胞表面構造の観察を行いました。共焦点レーザー顕微鏡も走査型電子顕微鏡も初めてのため、とても興味深く細胞を観察していました。
また、土壌サンプルから微生物DNAを抽出し、リアルタイムPCRによって微生物の数と種類の解析を行いました。微生物の研究室に所属している大学院生は自分たちの研究とも関連づけて担当教員に様々な質問を投げかけていました。
高分子複合体作製実習では、実際に高分子とDNAの複合体を作製し、その解析を行いました。高分子とDNAの特異的な相互作用を利用することで、薬剤開発などに応用できることを学びました。
最後の8日目は、今回の実習の成果の発表と研究交流セミナーを行いました。この実習で自分たちがどのようなことを学んだのかについて発表するとともに、自分たちのベトナムでの研究内容についての発表をしてもらいました。また北九州市立大学の教員と学生も研究内容について発表を行い、共同研究などについてディスカッションを行いました。
また夜には関係者全員で交流会を行いました。ベトナムの学生は勉強熱心で、かつ素直であるため、和気あいあいとした雰囲気で交流できました。参加学生が全員また留学などで日本に来たいと言っていたのが何よりも嬉しかったです。
最後に、本技術研修を支援してくださったさくらサイエンスプログラム、ならびに本技術研修にご協力いただいた教員・学生・事務の皆様に感謝申し上げます。