2018年度活動レポート(一般公募コース)第110号
地域社会に貢献できる持続的かつ先進的農業技術を岡山で学ぶ
-SDGs達成を目指して-
岡山大学農学部からの報告
持続可能な開発目標(SDGs)は、持続可能な世界を実現するための国際目標です。岡山大学では、この目標達成のため、私達が抱える様々な課題に全学で取り組んでいます。よって、今回のプログラムにも、SDGsの視点を盛り込みました。
招へい者は、タイのカセサート大学からの11名(学生10名と教員1名)。農業生産に関する様々な技術、そして地球環境や地球科学について学びました。
農学部では、農芸化学、応用植物科学、応用動物科学、環境生態学の4つの分野にわたり研修を受けました。タイの農業も、農業離れが進み、日本と似た問題を抱えています。その意味で、機械を利用した省力化技術、動物の体外生産技術、効率かつ効果的な農産物生産技術、ユニークな機能を持った微生物の利用等に関する研修は、参加学生にとって、貴重な知識・経験を得ることとなりました。
フィールド・トリップでは、本学の資源植物科学研究所(岡山県倉敷市)、惑星物質研究所(鳥取県三朝町)において、最先端の研究や分析技術、遺伝資源管理、惑星の形成・進化と生命の起源について学びました。加えて、「科学技術の適切な活用」を学ぶために広島平和記念資料館、「科学の仕組み」を体験しながら学ぶために5-days子供文化科学館(広島県広島市)を訪れました。広島では、「科学の適切な利用」や「科学の仕組み」だけでなく、戦後の復興に関しても感じることが多かったようで、「なぜ、日本が現在のような技術立国になったのか分かった」といったことを話してくれる学生もいました。
さて、今回のプログラムのテーマである、SDGsの視点から「持続的かつ先進的農業」を学んでもらうという試みですが、タイではSDGsに関してあまり認知されていないようでした。SDGsは、先進国だけではなく、世界が取り組む課題です。今回のプログラムを通じて得た知識や経験をタイで生かしてもらうと共に、タイ国内でSDGsへの気運が高まっていくことを願っています。
また、本プログラムでは、本学の大学院に関して説明する時間を設け、日本への留学を促しました。本学教員とのマッチングが出来た学生もいたので、将来、日本に戻ってきてくれることを期待しています。
最後になりますが、今回のプログラムは、9月4日、台風21号の影響を受けるギリギリ前に関西国際空港に参加者が到着し開始されました。その後も帰国便の運航が不安視される中、関係者のご支援を得て中部国際空港発の帰国便を確保し、9月12日に無事帰国することが出来ました。プログラムの準備段階から終了まで、様々なご支援を頂いたJST関係者の皆様に心から御礼申し上げます。