2018年度活動レポート(一般公募コース)第104号
中国の若手教員・修士学生との生命科学分野における研究成果交流
東京工業大学 董金華さん&上田宏さんからの報告
2018年7月17日から約1週間、さくらサイエンスプログラムの支援により中国潍坊医学院生物科学技術学院の若手教員ならびに修士学生計10名からなる訪日団が、東京工業大学科学技術創成研究院(横浜市緑区、以下研究院と略)を訪問しました。
このプランは、産学官の緊密な連携により、優秀なアジア地域の青少年が日本を短期訪問し、未来を担うアジア地域と日本の青少年が科学技術の分野で交流を深めることを目指しています。また、これによりアジア地域の青少年の日本の最先端の科学技術への関心を高め、日本の大学・研究機関や企業が必要とする海外からの優秀な人材の育成を進め、もってアジア地域と日本の科学技術の発展に貢献することを目的としています。
訪問初日、訪問団はまず化学生命科学研究所上田—北口研究室を訪問し、互いの自己紹介ののち、共同セミナーを行いました。午前中はスタッフの上田教授、北口准教授及び大室助教が抗体工学及び最先端の免疫測定技術、新規細胞内カルシウム可視化法、発光タンパク質を用いたたんぱく質間相互作用測定法などについて講義と質疑応答を行いました。
なお、この際司会を務めた董金華は2年前まで上田研究室の助教であり、現在は潍坊医学院教授と共に東工大でもWorld Research Hub Initiative特任教授を務めています。
その日の午後は、訪日団引率者の高教授が中国潍坊医学院について紹介を行い、中国側の若手教員らが各自の研究内容と成果を紹介しました。その後その内容について討論を行い、互いの研究について理解を深め今後の共同研究などの可能性について話す機会とすることができました。
訪問団はその後数日をかけ、研究院の他の研究室、具体的には化学生命科学研究所の久堀・若林研究室の若林准教授、同中村・布施研究室の中村教授、細胞制御工学研究センター田口研究室の田口教授の案内のもと、各研究室を見学しました。
さらに7月23日には訪問のハイライトとして2016年ノーベル生理学医学賞受賞者大隅良典東工大栄誉教授の研究室を見学し、世界最先端の研究に触れ、全員が大きな感動を受けました。大隅良典先生から直接励ましの言葉をいただき、これからの生命科学のために頑張ろうと訪日団メンバー全員が決心したようです。
期間中の休日には、日本文化を理解するため鎌倉を訪問し、日本の歴史、民俗などの理解を深めました。また最終日に科学技術振興機構本部を訪問し、感謝の意を表した上に、今後の交流を約束しました。
また帰国前には、上田・北口研究室の学生による送別パーティーが企画されました。上田教授により研修修了書とさくらサイエンスプログラムのバッジが授与された後は、寿司や飲み物を片手に両国の教育・研究その他について話がはずみ、少なからず日中友好が促進されたと思います。
今回の訪問期間は連日最高気温が38℃となる大変な暑さではありましたが、両国の将来を担うべき若手教員・学生にとっては研究のみならず心の交流も出来、将来の両国の友好にとっても大変有意義だったと思われます。