2018年度 活動レポート 第52号:東京理科大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第052号

ナノテクノロジーを駆使したバイオ材料科学の国際共同研究

東京理科大学からの報告

2018年8月1日~8月11日までの11日間、「さくらサイエンスプログラム」の支援により、 フィリピン・ミンダナオ州立大学イリガン校から3名、中国・セッコウ大学から3名、ベトナム・ハノイ工科大学等から4名、の大学院生と学部学生が東京理科大学神楽坂キャンパスで理学部第二部物理学科の梅村研究室と共同研究を中心とした活動を行いました。

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未来館見学での集合写真

本招へいは3年計画の3年目にあたり、総まとめのミニシンポジウムを行うためにこれまでより1日長い日程を組みました。中国に関しては、来日する学生は毎年新たになりますが、教員間のやり取りは継続しており、また、昨年までの来日者ともSNSなどで連絡を取り合っていることから、来日準備はスムーズにできました。中国グループは、日本側の保有する装置を熟知しており、蛍光顕微鏡を使った実験の準備を独自に用意してきていました。また、日本側からも、昨年までに参加した卒業生が、仕事の合間に駆け付けるといった光景も見られました。

写真2
大学内での共同実験

今回の来日では、中国の得意な表面処理技術を用いた実験などを研究室内で行いました。また、物理学科でありながらアウトドアで微生物採集を行う、という生物物理学ならではの特養を活かし、これも恒例の海岸での微生物採集を全員で行いました。さらに、日本科学未来館の見学、あるいは本学OBが経営するベンチャー企業訪問、本学オープンキャンパスへの参加など、盛りだくさんな内容となりました。また、本学OBが起業した会社の見学では、昨年までのバーチャルリアリティに加え、AIへの参入も見られて、招へい者のみならず日本の学生も大いに興味を持ち、飛び入りで参加した日本人学生もありました。

写真3
海岸での微生物採集

ミニシンポジウム、これに付随した留学説明会、さらに交流会も開催しました。ミニシンポジウムでは、各自の研究発表をおこなった他、今年度で3年計画が終了することから、来年度以降継続するかについても議論を交わし、前向きな意見が多く得られました。これまでのところ、フィリピンの相手先から2名が、フィリピン側の奨学金を得て今年度、本学に3か月および1か月滞在して共同研究を行っています。この2名は、さくらサイエンスでの来日者ではなく、同じ研究室のメンバーで、さくらサイエンスで来日した学生からの評判を聞いて、ぜひ本学の研究室で研究を行いない、と奨学金に応募したものです。本事業の成果の一つといえるでしょう。

留学説明会では、各種募集の紹介に加え、競争倍率などについても独自の分析結果を伝えました。また、大学への留学や博士研究員の募集にとどまらず、外国人向けの企業インターンについても紹介しました。交流会では、昨年と同じ「しゃぶしゃぶ」を行いました。

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3年間のまとめおよび留学説明会の様子

送り出し機関の教員たちも、さくらサイエンスの趣旨をよく理解してきており、昨年よりもさらに、日本留学に興味のある学生たちが選抜されてきていると感じられました。例えばベトナムは、相手先の教員が大規模研究プロジェクトを展開しており、大学にとどまらず国立研究所や他大学も含めたチーム構成となっています。今回は、この研究チームから学生が選抜されてきていました(ハノイ工科大学以外からこのチームに参加している学生など)。その方が、本事業の実施効果が高いとの判断があるものと思われます。また、昨年はフィリピンでの国際会議に日本側の受け入れ教員が招待されましたが、今年はフィリピンに加えベトナムからも招待されています。複数年度計画での、継続的な実施の意義は大きいと感じられます。

このような交流のきっかけを作って頂いた「さくらサイエンスプログラム」に深く感謝いたします。

写真5
大学入り口にて