2018年度活動レポート(一般公募コース)第050号
中国科学技術大学の大学生が、国立天文台で電波天文学を学ぶ
国立天文台水沢VLBI観測所 本間 希樹さんからの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受けて8月20日~26日の7日間にわたり、中国科学技術大学(合肥市)から学部生3名を国立天文台水沢VLBI観測所(岩手県奥州市)にて受け入れました。合計1週間の滞在期間中に、電波天文学に関する基礎的な講義や、国立天文台水沢の電波望遠鏡および関連する装置群の見学を行い、まずは電波天文学がどのようなものかを学んでもらいました。
さらには実際に手を動かす活動として、水沢地区にて行われた人工干渉電波の計測実験へ参加してもらうとともに、同じ時期に開催していた総合研究大学院大学の電波天文学実習も一部見学させてもらい、電波望遠鏡の性能評価についても体験しました。
来日した3名はいずれも将来天文学分野で研究することを希望していて、これらの様々な活動に非常に積極的に参加していました。実際、干渉電波計測実験では早朝深夜の観測に加え、炎天下の昼間の測定もありましたが、そのすべてに熱心に参加した上で、空き時間には別プログラムとして行われていた総研大実習にも加わるなど、非常に積極的でした。
また、滞在期間中に別の活動で水沢に居合わせた総研大や東大の院生・学部生とも積極的に交流し、研究に加えて学生生活についてもいろいろ学んでいました。最終日には3人が自ら1週間の活動を総括した発表をしたいと希望があり、まとめのプレゼンを行ってくれました。そしてその後の懇談では将来日本の大学院への進学の可能性についても具体的な相談を受けるなど、本プログラムを通じて日本での科学研究に大いに興味を持ってくれたようです。
研究以外の活動としては、中尊寺(岩手県平泉町)の訪問と、東北最大の花火のイベントである大曲の花火大会にも行ってもらい、東北地方の文化や風土についても知ってもらう良い機会にすることができました。また、懇親会で日本料理を食べる機会もあり、日本の歴史や文化などについてもより深く味わっていただけたと思います。
私たちは今回初めてさくらサイエンスプログラムで学生を受け入れましたが、このように意欲の高い学生の受け入れは、今後日本が優秀な留学生を獲得していくうえで大きな効果があると感じました。
最後になりましたが、本活動の開催にあたってお世話になった関係者にここでお礼申し上げます。特に国立天文台水沢で学んでいる総研大院生の崔玉竹さんは、今回来日した学生と同じ中華人民共和国出身ということもあり、チューターとして様々な面からこの活動に活躍いただきました。また、同観測所の赤堀卓也さんと柴田克典さんには、それぞれ人工電波の干渉計測や総研大実習への参加にご配慮・ご協力いただき、来日した学生たちの活動をさらに有意義なものにできたことお礼申し上げます。
そして最後になりますが、本活動を採択し様々な面からサポートいただきましたJST関係者および国立天文台の事務関係者にも心からお礼申し上げます。