2018年度 活動レポート 第48号:京都工芸繊維大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第048号

電子工学サマースクール&プラズマナノテクノロジーセミナー2018

京都工芸繊維大学電気電子工学系
准教授 高橋和生さんからの報告

京都工芸繊維大学(KIT)において、平成30年7月9日より20日までの間、電子工学サマースクール&プラズマナノテクノロジーセミナーを開催しました。昨年度に続き2度目の開催となった今回には、アル−ファラビ・カザフ国立大学(KNU、カザフスタン)より、「さくらサイエンスプログラム」の支援を受けた学生6名を含む7名が来日した他、オルレアン大学ポリテク・オルレアン(フランス)より7名、カザフ・ブリティッシュ工科大学(カザフスタン)より1名、東華大学(中国)より1名、マハサラカム大学(タイ)より2名、KITより15名の学生がこのプログラムに参加し、KNU学生と2週間を共にしました。

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サマースクールの参加者

電子工学サマースクールでは、3〜4ヶ国のメンバーからなる8チームを編成し、それらのチームはそれぞれに、”Make something”をテーマに電子回路とコンピュータ、プログラミングを駆使して、国際色豊かなアイデアに富む様々な電子機器システムを作り上げました。カザフスタンからの学生は、物理など電子工学ではない学問領域を専門としていますが、電子回路やプログラミングを駆使する作業に興味を持ち、積極的に参加していました。

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チームでの共同が不可欠なシステムづくり

カザフスタンでは他国同様ナノテクノロジーが注目されており、研究所が政府によってKNUに設置されています。プラズマナノテクノロジーセミナーは、KNUからの要望に応じて企画されたもので、フランスよりLaifa Boufendi教授を招き、プラズマの基礎と応用技術に関する講義を実施しました。

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Laifa Boufendi教授による講義を聴講するアル−ファラビ・カザフ国立大学からの参加学生

特に、健康被害を防ぐことを目的としたアスベストのプラズマによる検出プロセスに対して質問が集中しました。国家の政策を意識した質問で、健康やエネルギーに関連する材料およびそのプラズマプロセスへの関心の高さがうかがわれました。講義の後、原子層エッチングプロセスの開発を背景に進められているプラズマ源を見学しました。また、物質創成のみならず宇宙物理にも関連する微粒子プラズマの実験に参加し、プラズマにおけるナノ材料創製のイメージを膨らませることができました。カザフスタンは原油の採掘だけでなく、多様な農作物を産出する豊かな大地を擁することでも知られています。学生達は、プラズマが農業にも応用できる可能性に目を光らせ、プラズマを種子に照射することにより、発芽や生長が促進されることに大いに興味を喚起されたようでした。

また、プログラム参加学生たちがそれぞれに自国および自身の大学や研究内容を紹介し合い、研究活動を含めた互いの将来的な共働について討論する機会も設けられました。

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出身国および研究内容等を紹介する様子

2週間を通じて、学生それぞれの母国語であるカザフ語(ロシア語)、フランス語、タイ語、中国語、日本語を織り交ぜながら、英語を主体としたコミュニケーションにより、国際理解が促進される過程は参加学生全員に貴重な体験をもたらしました。

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サマースクールの参加者、8チームが作製した電子機器システムと共に

KNUではすでに本プログラムに対するレビューが今年度も行われており、本プログラムは、学生の興味を満たす高い満足度が得られるものとして、また将来日本との人材交流を進めるためのよいきっかけになるものとして、非常に高い評価を得ています。