2018年度 活動レポート 第35号:東京都市大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第035号

教育と研究の交流体制確立を目指して

東京都市大学からの報告

東京都市大学では、平成30年7月22日~7月31日(10日間)、マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院(MJIIT)から10名の大学生と1名の引率教員を招いて、さくらサイエンスプログラムを実施しました(実施主担当者:田口知識工学部長)。MJIITとは、「さくらサイエンスプログラム」元年からプログラムが採択され、これまで4年連続で実施してきました。昨年、「複数年度型」の申請が採択され、「複数年度型」実施の2年目となります。

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日本科学未来館にて

MJIITとは学生間(教育)、教員間(研究)の多角的な交流を行うことを目指していて、「さくらサイエンスプログラム」は学生間交流の柱の一つです。昨年、「複数年度型」に挑戦した意図は、「さくらサイエンスプログラム」を研究交流の促進にも利用することにありました。そのようなことから、MJIIT側には今後の本学との交流を見据えたうえで引率教員の選出をお願いしています。昨年は研究交流においての適任者を、今年は、本格的な学生交流を促進するための適任者が選出され、「さくらサイエンスプログラム」の実施と並行して、教員間での今後の交流のあり方、具体的な交流プログラム等の打ち合わせも行っています。また、「さくらサイエンスプログラム」に参加していただいた学生によって将来、本学とMJIITの共同研究等に関わるような仕組みづくりを構築したいと考えています。

本年はMJIITの「化学工学分野」から4名、「電子システム工学分野」から3名、「機械精密工学分野」から3名の合計10名の学生に約1週間、本学工学部の「エネルギー化学科」、「電気電子工学科」、「医用工学科」、「機械工学科」、「機械システム工学科」の研究室でPBLに取り組んでもらいました。取り組んでもらった課題の紹介をさせて頂きます。

1)化学工学分野

この分野では、エネルギー化学科の高津准教授、江場准教授が指導を担当しました。主な課題は列記すれば

  • 新エネルギー関係のテーマとして、「水を分解して水素ガスを発生させる実験」、「鉄粉と炭酸水を混合・撹拌し、気相成分をガスクロマトグラフィーで分析する実習」と「固相をX線回折法により分析する実習」を行い、化学反応の進行について考察しました。
  • 再生可能なエネルギーとして実用されている「バイオディーゼル」の工業生産法を研究室規模で模擬しました。
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高津研究室での実験風景
写真3
江場研究室での実験風景

2)電子システム工学分野

この分野では、電気電子工学科の澤野教授、太田准教授と医用工学科の京相准教授が指導を担当しました。主な課題は以下の通りです。

  • 次世代半導体デバイスへ向けた、新材料の結晶作製と評価についての種々の実験と考察を行いました。
  • マレーシアにおいても今後、本格的な導入が期待される太陽光発電、電気自動車、それぞれの計測試験を実施し、組み合わせの効果等の解析評価を行いました。
  • 生体信号測定器の作成を行いました。
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京相研究室の学生と招へい学生

3)機械精密工学分野

この分野では、機械工学科の櫻井准教授と機械システム工学科の野中教授、関口講師が指導を担当しました。主な課題は以下の通りです。

  • 普及が進みつつあるセグウェイ型車両についての転倒事故における乗員傷害の検討のための繰り返し実験が可能な縮尺模型の乗員部の作成を3Dプリンタを用いて行いました。
  • ドローンを用いたPID制御実験を行いました。
写真5
櫻井研究室での実験風景

本プログラムの最終行事として、学生ひとりひとりに成果を口頭で発表して頂く、成果発表会を設けました。その発表会を通じて、本年も全ての学生が十分な成果を得たことを確認しました。この発表会は、本学の国際センター教員が進行役を務め、招へい学生の研究室におけるPBLを支援した本学の学部生、大学院生が多数参加し、質疑応答も活発に行われ盛会となりました。

成果発表会後には修了式が行われ、学長の三木千壽先生から各学生に修了証が授与され、充実したプログラムが終了しました。