2018年度活動レポート(一般公募コース)第034号
核エネルギー開発のための放射線測定と放射化材料評価
静岡大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、中国等離子体物理研究所および華中科技大学から教員及び学生計11名を招へいし、2018年8月19日から28日まで「核エネルギー開発のための放射線測定と放射化材料評価」をテーマに研修及び研究交流を行いました。本研修では、将来の高効率なかつ安全な核エネルギー開発における放射線安全に関する知識・技術について理解することを目的に行いました。
静岡大学の研修では放射線の基礎、日本のエネルギー事情、中性子照射による放射化物からのトリチウム回収技術、材料評価法(電子スピン共鳴法、X線光電子分光法)に関する講義を行いました。実習では、表面分析装置の取扱およびベータ線の特性実験を行い、放射線への理解を深めました。
表面分析では、実際に招へい学生が持参した試料を用いた分析も行い、自分の研究における本研修の意義を感じてもらえるようにしました。測定したい元素やその化学状態評価および水素放出挙動について測定結果とデータベースなどを比較・検討し、とても興味深かった様子でした。また、放射線の測定では実際の放射能の計算やその原理、放射線種によって材料との相互作用が異なることを学習しました。
どの講義や実習も学生からの質問が多く、予定時間をこえて、研修が続きました。理解度を確認するために、講義・実習ごとにLecture Reportを作成してもらい、理解度や疑問点のフォローアップに活用しました。また、東北大学笠田竜太教授を訪問し、核エネルギー材料でのミクロ的損傷機構や材料開発状況についての講義を受講しました。
週末には静岡と仙台でそれぞれ半日の歴史学習ツアーを行いました。静岡では日本の江戸時代に注目し、徳川家康・慶喜公について学習し、江戸時代の駿府の町並みをイメージしながら浮月楼、駿府城公園、静岡浅間神社を歩いて見学しました。途中、浅間神社からは世界遺産になった富士山を見ることもできました。仙台では青葉城、仙台市博物館を見学し、伊達政宗公について学習するとともに、中国でも著名な魯迅先生の銅像そして、東北大学で魯迅先生が学んだ階段教室や史料館を見学し、とても興味深い様子でした。
非常に短い滞在期間でしたが、中身の濃い研修を行うことができました。日本の先端技術の一端を見ていただくことができたのではないかと思います。ぜひ、次回は多くの試料をもって共同研究に来ていただきたいと思っています。みなさんの再来日を実施教員一同心からお待ちしています!