2018年度活動レポート(一般公募コース)第030号
バングラデシュの優秀な大学生が、IoT時代を支える楕円曲線暗号について学ぶ
岡山大学からの報告
今回のさくらサイエンスプログラムでは、バングラデシュの学生2名(マハブブ、ロイ)を招き、2018年7月17日から8月6日までの3週間に渡って、情報セキュリティに関する研究と、岡山の文化について見聞する機会としていただきました。
まず研究については、IoT時代を支える技術として注目される楕円曲線暗号について、Arduino Unoに搭載して、その計算効率の評価と安全性の評価を行ってもらうというものです。当初、両名に異なるテーマを実施してもらおうと考えていましたが、短期間であるということと、やはり理論的にもプログラミング的にも難易度の高いものであることから、それぞれが協力して行えるよう、同じテーマとしました。
最初の1週間で理論的なことを理解し、次の1週間でPC上にプログラミング実装し、3週目ではそれをArduino Unoに搭載して、オシロスコープなどで波形観測などして、ハードウェア実装的な安全性の評価を行ってもらう予定でした。両名ともに聡明な学生で、理論的な理解は極めて速く、1週間かからず理解し、プログラミング実装についてもすでに経験があったことからスムーズに進みました。
問題は、Arduino Unoへの実装でした。もとより計算リソースが限られるデバイスであることから、その実装に不具合が生じ、彼らの分析からArduino Megaにした方が良いとのことで、急遽これを購入し実装して動作するに至りました。その辺りの気づきは、私の予想を大きく超えるものであり、改めて優秀な学生であると感じました。
また岡山の観光を通じた文化の見聞については、週末の土日を活用して岡山後楽園などを散策いただきました。色々なところを見学に回りましたが、中でも岡山城・後楽園については感動したようで、いわゆる日本庭園の美というものに感動したようです。
また、タイミングよく岡山のフルーツが美味しくなる時期でもあり、桃・スイカなどを振るまって味わってもらいました。バングラデシュでは、マンゴーが採れるので、岡山白桃の甘さと、そのマンゴーの甘さとは良い勝負だと言っていました。
そのような中で、日本人学生と研究についてやそれぞれの国の文化について英語を通じて交流を深め、私の研究室に所属する日本人学生については英語でのコミュニケーションについて自信がついたと思われます。また彼らについては、いわゆる日本の大学の研究室という仕組みについて理解し、さらなる彼らの学術キャリアアップへの興味につながったと思っています。
今後の展開として、彼らが再び日本の大学に正式な留学生として戻ってきて、一緒に研究ができれば、日本・バングラデシュの学生交流を通じた国際貢献に大いに役立つものであったと、今回のさくらサイエンスプログラムを振り返られますし、またすでに私の研究室では、バングラデシュからの国費留学生を受け入れており、私の研究室からバングラデシュへ逆に留学するなど、さらに交流が深まればと期待しています。