2018年度活動レポート(一般公募コース)第027号 (Aコース)
タイ王国 ラジャマンガラ工科大学ランナー校の学生が共創に基づくものづくりに挑む
金沢工業大学からの報告
2018年7月29日から8月7日にわたり、さくらサイエンスプログラム支援のもと、タイ王国 Rajamangala University of Technology Lanna(RMUTL)から招へいした10名の学生が、本学園17名と共に、日本の科学技術を活用したものづくりに取り組みました。
今回のさくらサイエンスプログラムでは、2018年3月にタイ王国チェンマイにおいて、RMUTLと連携して実施したソーシャルイノベーションプログラムの成果を、日本の科学技術によって具現化し、実際に利用可能な製品として作成することを目的としました。また単なる製作活動に留まらず、大学における研究や、研究成果を応用した製品作りに取り組む地元企業の見学、科学技術の背景に存在する日本文化の体験など、多様な観点から日本を知る機会となるよう設計しました。
金沢に到着した招へい学生は、まず技術者のための日本語講座を受けたのち、研究所や地元企業を見学し、日本の技術水準を実感しました。そののち、タイの農村部におけるソーシャルイノベーションの成果を、1)実現可能性、2)製造・運用コスト、3)現地における可用性の観点から再評価し、「発酵茶の製造に用いる清潔な圧縮装置」と「カボチャを女性の力で容易に分割するための切断装置」の製作を行うこととしました。
招へい学生と本学園の学生たちは、先端の加工機器が集積された「夢考房」を拠点とし、製作活動に取り組みました。招へい学生は17歳から22歳、かつ専攻も国際コミュニケーションから機械工学までと幅広い分野にわたり、本学園から参画した学生も様々な専攻の高専、大学生、大学院生が混在していましたが、製作活動においては年齢や専攻の垣根を越え、多様な視点からの議論が行われました。
製作過程において、利用者の観点から安全対策を優先しようとする本学園学生と、使い勝手を優先したいRMUTL学生の間で設計や加工、構造などについて多くの議論が交わされました。
招へい学生たちは、活動7日目に開催した成果報告会において、作成した製品の設計過程を発表するとともに、製品のデモンストレーションを行いました。なかでも、カボチャ切断装置のデモンストレーションにおいて、硬質のカボチャが容易に寸断された際には、聴衆から大きな歓声が上がり、学生たち自身からも実際に動作する製品を得られたことへの喜びが強く感じられました。
最終日は上野国立科学博物館や浅草界隈を見学し、招へい学生は最新の科学技術と伝統文化の共存する日本を肌で感じ、日本における学びへの期待を深めていました。
このような、アジアの学生と日本の学生が協働してものづくりに取り組むという共創教育プログラムに支援を賜りましたことに、深く御礼申し上げます。