2018年度活動レポート(一般公募コース)第018号
ナノカーボン材料を用いたバイオセンサの開発に関する日韓共同研究
東京都市大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの招へいによる韓国の江原大学校(Kangwon National University以下KNU)から、先端材料工学科の大学院生5名を迎えての共同研究活動コース:15日間(6/27~7/11)が終了しました。
本共同研究テーマは、「ナノカーボン材料を用いたバイオセンサの開発と応用展開」であり、ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ)を用いたバイオセンサの試作・電気化学的特性評価、実用化を視野に入れた総合的評価、並びに学生・教員間での学術交流による韓国・日本の次世代若手研究者の国際的人材育成と輩出の促進を目的として行いました。
具体的には、KNU先端物質理工学科の鄭 求桓(チョン グーハン)准教授が行っている「プラズマ理工学を駆使したカーボンナノチューブやグラフェンなどのナノカーボン材料の合成とその応用展開」に関する研究と、本学の医用工学科 平田孝道教授が行っている「ナノカーボン材料を用いたバイオデバイスの創製」及び「プラズマ医療と再生医療を融合させた生体融合型バイオデバイスの創製」に関する研究を多角的に融合させることにより、実用化を視野に入れた更なる応用展開を目的とした共同研究体制の構築を目指した実験を行いました。
複数年度の2年目である今回は、有機溶媒に分散させたカーボンナノチューブを塗布した細胞培養用容器の表面に対して化学修飾処理を施した後に上皮細胞による培養実験を行い、生体適合性の評価を行いました。プラズマによる化学修飾処理を行うことにより、カーボンナノチューブと上皮細胞の間で生体適合性が向上するため、生体融合型バイオデバイスの創製に大きく寄与できることが改めて確認できました。カーボンナノチューブからの有機溶媒の除去や培養細胞の取り扱いなど、多少の問題点はありましたが、貴重な結果が得られており、更なる実験の重要性を再確認できる良い機会が得られました。
また、成果発表会では、短期間にもかかわらず明確かつ詳細な発表と質疑応答がなされ、本学学生に対しても研究面および語学面において刺激となりました。帰国後も学生間ではメールの交換が行われており、交流プログラムが学生間のみならず、共同研究や国際ワークショップによる大学間の交流に繋がるものと期待しております。