2018年度 活動レポート 第10号:熊本大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第010号

ミャンマーの若者が最新の電力システムの信頼度評価技術を学ぶ

熊本大学からの報告

2018年7月2日から10日まで、「さくらサイエンスプログラム」のご支援により、ミャンマー連邦共和国のヤンゴン工科大学から、若手の教員1名、大学院生5名、学部生6名(内1名については本学が経費負担)を熊本大学にお招きしました。ヤンゴン工科大学はミャンマー国のトップクラスの工学系大学であり、その若い優秀な人材に我が国の最新の電力システムに関わる技術を感じてもらうことで、これからの社会の発展を助ける信頼度の高い電力システムの構築を考えてもらうことを目的としました。

熊本大学の教員から、我が国の電力システムの概要の他に、太陽光発電の故障同定、パルスパワーの応用、電力システムの供給信頼度の3テーマについてお話しをさせて頂きました。併せて、熊本大学の電力システムおよびパルスパワーの実験設備を見学して頂きました。これらの実験設備に若者らしく強い興味をもち、多く質問がなされました。

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熊本大学パルスパワー実験研究設備の見学(7月4日)

また、最新の電力システムの運用を実際に見て頂くために、九州電力株式会社の中央給電指令所と熊本送配電統括センターを訪問しました。中央給電指令所では、九州地区の発電と負荷が巧みに制御され、常時の周波数変動幅がミャンマー国より1桁低いこと、また、熊本送配電統括センターでは、熊本県内の電力系統の自動化された制御システムや配電システムが事故時に自動復旧されることを実際に見て、将来自国にもこのようなシステムが導入され、今よりはるかに停電の少ない信頼性の高い電力システムを思い描いていました。

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九州電力(株)熊本送配電統括センター見学(7月5日)

学生どうしの研究交流として、電力システムに関する研究について、熊本大学の大学院生から5件、ヤンゴン工科大学の学生から5件の研究発表を行いました。また、両大学の学生2~3名ずつから成る6名程度のグループを4つ構成し、お互いにお互いの国の電力事情を考えながら「よい電力システムとは何か」についてグループディスカッションを行いました。

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YTU・熊本大学双方の学生によるグループディスカッション(7月9日)

この研究発表の後にはヤンゴン工科大学の学生11名と熊本大学の学生11名を交えて懇談会を開催し互いの友好を深めました。またあいにくの天候でしたが、7月8日(日)には丸1日、阿蘇山へと向かい、霧が晴れるわずかの合間から火口を覗き込み、草千里や阿蘇カルデラが織りなす雄大な自然を実感するとともに、2年前の熊本地震で楼門は倒壊しましたが境内は静謐な阿蘇神社と湧水の豊かな門前町を散策することで、日本文化の一端にも触れて頂きました。

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阿蘇神社門前町「水基めぐり」(7月8日)

非常に慌ただしい日程でしたが、ヤンゴン工科大学の学生は疲れも見せず精力的にプログラムに参加して頂き、そして我が国に多くの興味を持って頂くことができました。それだけでなく、熊本大学の学生にとっても様々な交流ができ意義深いものでした。これからも、ヤンゴン工科大学と熊本大学の交流を続けていきたいと願っています。

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グループディスカッション後の集合写真(7月9日)