さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第8号
さくらサイエンス・ハイスクールプログラム
第3グループが来日中!
今回来日しているのは、フィリピン、マレーシア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの高校生と引率者、合計121名です。
第1日目の本日(5月15日)のプログラムは、3つのグループに分かれての実施で、フィリピン、マレーシアのグループ61名は、芝浦工業大学豊洲キャンパスを訪問し、ノーベル化学賞受賞の白川英樹博士の実験教室を受講しました。
午前中芝浦工業大学に到着した一行は、少々緊張気味な面持ちで、広々と開放的なキャンパス内を移動しました。
その内の何人かが、少々はにかんだ表情で「オハヨウゴザイマス」と、おそらく覚えたての日本語で話かけてくれたのが、とても印象的でした。
最初のプログラムは、教育イノベーション推進センター橘雅彦氏による、芝浦工業大学の概要や、留学制度についての紹介です。
産業界とのパイプにより、大変高い就職率を誇っていること、文部科学省から「スーパーグローバル大学創生支援」に指定された理工系単科大学として、世界で活躍する理工系人材の育成のためのモデルを構築していることなどに、皆熱心に耳を傾けました。
その後、マレーシアやブラジル、中国からの留学生の先導で、小グループに分かれてキャンパスツアーに出かけました。
様々な計測装置や電子機器、アクティブラーニングスペースなどを備え、共有することができるテクノプラザや、研究室など、学内の施設を、とても親切な解説と共に見学することができました。
午後からは、待ちに待った白川秀樹先生の実験教室「Let’s fabricate a conductive polymer EL device」(伝導性プラスチックを合成してEL素子を作ろう)です。
ノーベル賞受賞の先生から、直接の指導を受けられるまたとない機会に、皆、大変活き活きと興奮した様子で白衣、グローブ、ゴーグルを着用し、6名のグループに分かれて着席しました。
白川先生のプラスチックの科学的構造や、伝導性プラスチックを合成するしくみなどについての講義が始まると、全員メモを取りながら、その一言一言を熱心に聴き入りました。
実験は、TA(ティーチングアシスタント)のサポートを受けながら行われます。白川先生も、各テーブルを回りながら、生徒たちにきめ細やかなアドバイスを与えてくださいました。
高校生たちは最後まで一心に実験に集中していたため、約2時間半という時間があっという間に感じられました。そして迎えたクライマックス。合成したEL素子が本当に電気を通すのかを確かめる瞬間です。
赤く発光したEL素子を囲んで、各テーブルからは「ワァー」という歓声と拍手が起こっていました。全員、実験は大成功です。感動的な瞬間となりました。
続いての質疑応答では、生徒たちからの専門的な質問の1つ1つに、白川先生は丁寧に答えてくださいました。
この日の貴重な感動を胸に、芝浦工業大学を後にしたフィリピン、マレーシアの高校生たちですが、今回特に感じたことは、とても統制がとれているということでした。
集団で移動する際にも、大きく列を乱すことはなく、時間にも正確。本当に優秀なみなさんです。これはきっと、引率をされている先生方の指導力に帰するところも大きいのではないかと感じました。