2017年度活動レポート(一般公募コース)第436号
新モンゴル工科大学の学生が機械技術とその情報技術について学ぶ
名古屋大学情報基盤センター情報基盤ネットワーク研究部門准教授 嶋田 創さんからの報告
このたび、さくらサイエンスプログラムの支援のもとに、新モンゴル工科大学と名古屋大学情報基盤センター(学生は情報学研究科所属)の間で国際交流を実施させていただきました。交流のテーマとして、東海地区の産業として強みを持つ機械産業についての工場見学や産業博物館見学による産業の現場についての学習、および、本研究室における研究内容の体験として、近年発展が著しい機械と情報技術の協調を脅かす組み込みセキュリティ問題に関する演習を設定しました。
交流期間は2018年2月25日(日)から3月3日(土)でしたが、初日と最終日はほぼモンゴル国と名古屋市の間の移動で終わってしまうため、日本における交流活動は実質5日間になります。飛行機のスケジュールの関係で前日の名古屋への到着が23時頃となるため、交流1日目は10時ぐらいからの名古屋大学内の研究設備見学、学内博物館見学、受け入れ研究室メンバとの間でお互い紹介プレゼンテーション、ウェルカムパーティーを実施しました。
工場見学先の都合で2日目と4日目に分けて実施した演習では、ネットワーク接続された組み込みボードを用いたモータ制御と組み込みシステム、および、それらのシステムへの脅威としての組み込みマルウェアについて学んでもらいました。演習途中において、こちらから問題を提示する前に、「この状態だと他のグループのボードを勝手に遠隔操作できるのでは?」と気づいて可能かどうか試みるなど、成績優秀学生らしい一面も見ることもできました。
3日目には工作機械で有名なオークマ株式会社本社工場を見学し、また、5日目にはトヨタ産業技術記念館とトヨタ博物館を見学しました。現在のモンゴル国では豊富な風力発電の資源量をもととした工業化が期待されており、新モンゴル工科大学もその工業化を支える工学技術者の養成も目的として設立された大学でもあるため、学生は特に熱心に見学をしておりました。
演習等終了後の夕方は自由時間となっておりましたが、新モンゴル工科大学学生はコンピュータ部品や電気/電子部品(やジャパニーズサブカルチャー)の店が集まる大須へ向かうなど、課外時間においても、科学技術および名古屋という都市の体験を積極的に進めていたようです。また、工場見学の日の午後に設定した自由時間においても、名古屋市科学館に見学に行くなど、交流計画者の想定以上に積極的に科学技術の体験をしていたようです。
このような国際交流を推進する機会をいただいたことに対し、「さくらサイエンスプログラム」ならびに関係者の皆様に深く感謝致します。今回の国際交流が、今後の日本とモンゴル国との科学技術における交流のさらなる発展につながれば幸いです。