2017年度活動レポート(一般公募コース)第432号
環境問題への課題解決に向けて持続可能な日中協力体制を築く
ときの羽根からの報告
(一社)ときの羽根では、2018年3月4日(日)~3月10日(土)の日程で、上海市生態科技・教育研修視察団16名を招へいし、科学技術交流プログラムを実施しました。
本プログラムでは、中国が抱える環境問題への課題解決に向けた取り組みをより強化させるため人材育成と、持続可能な日中協力体制の強化を目的としました。
●交流プログラム詳細3/4(日)
中部国際空港より名鉄電車、JRを乗り継いで伊勢市へ。伊勢市観光会にてオリエンテーション。歓迎のあいさつと伊勢神宮(20年に一度の遷宮システム)についてのガイドを受けました。
3/5(月)
午前5時半、伊勢神宮外宮早朝参拝。雨の中を傘を差して日本人の心の故郷である伊勢神宮を案内しました。宗教としてではなく1300年以上続く神宮の持続可能な生態系や技術伝承の知恵である20年毎の「式年遷宮」というシステムについて現地を案内しながら説明し、偶像崇拝ではなく生物多様性保護の広大な敷地に原生する樹木や、毎日欠かさず火を起こして食事を作って備える食や万物への感謝の気持ちが原点にあることを体感してもらう機会としました。
伊勢市情報戦略室秘書課を表敬訪問し、伊勢市の神宮や神宮の森を護りつつ国内外の観光客の集客と市民生活の共存共栄を図る伝統文化の継承と環境保全への取組等の説明を受けました。 神宮徴古館・農業館では神宮司廳文化部の潮宮掌の解説で1400年以上続く神宮の歴史、祭祀、農業との結びつき、中国との文化交易の歴史について学ぶことができました。
午後には、伊勢を流れる水質日本一の宮川を視察し、宮川流域ルネッサンス協議会が取り組んでいる「エコミュージアム」理念とその活動について説明を受け、意見交換を行いまいした。その後訪れた宮川上流の「ユネスコ・エコパーク大台」では、ユネスコ自然遺産に指定された山林地区で大杉の見学や生物の生息状況など上流域の生態保護に関して観測しました。
3/6(火)
湯の山温泉地の天然温浴、地産地消の日本食、日本木造建築様式(畳・布団)での宿泊体験、温泉熱を利用した最新式イチゴ農園などが一堂に満喫できる複合施設でアクアイグニスで農業観光と庶民的な日本文化を体験しました。施設敷地内で栽培するイチゴ農園では、温泉熱の効果的な利用方法や常床式栽培技術、六次産業化を対象とする販売方式等についてレクチャーを受けました。
午後、四日市公害と環境未来館を学習見学し、公害の発生、被害、抗争、裁判、賠償、法制度、そして青空を取り戻すまでの日本公害の軌跡を科学的な分析を学びました。
3/7(水)
豊田市立西広瀬小学校を訪問しました。小学校の全校児童たちが、同校が2017年夏に水質汚濁調査15000日達成を記念して作られた歌で迎えてくれました。図書室に設営されたミニ会議室で、児童代表により環境保全活動の発表の後、脂質汚濁調査の様子や丸根山ビオトープを見学しました。
午後には、豊田市エコフルタウンを訪問し、環境保全面での低炭素施策等のレクチャーを受けた後、2グループに別れて視察しました。
夕刻、名古屋市内に移動し、招へいメンバーの上海市農業科学院園芸研究所の陸氏、上海市農業科学院生態環境保護研究所の高氏と任氏の3人が登壇し、東海地区の農業関係の青年らと循環型生態農業をテーマとする座談会を実施しました。後継者問題や農業技術についての専門的な意見交換が展開され、ワークショップとして様々な苺の栽培方法や味覚などの比較も行いました。
3/8(木)
新幹線にて、上海市の姉妹都市でもある横浜へ移動しました。送出し機関の上海対外科学技術交流中心は、上海市の姉妹都市である横浜市との科技分野での交流窓口でもあります。横浜市企業経営支援財団にて、「横浜市経済の概況」等についての説明を受けた後、環境系ベンチャー企業の紹介はじめ中国進出などについて意見交換を行いました。
3/9(金)
JST中国総合研究交流センターを訪問し、意見交換会を実施した後、午後には中国駐日本国大使館を表敬訪問して、科学技術処・阮湘平公使参事官と呉松一等書記官と約応時間ほど接室で面談しました。
阮湘平公使参事官から歓迎の挨拶を受け、瑜燕団長が今回の視察目的と日中合作活動の成果報告をし、明区教育学院の向莉氏が「崇明世界級生態島2040計画」の説明と弊法人との日中合作環境教育活動の成果、上海市農業科学院園芸研究所の陸助理からも弊法人との新農業における日中合作活動の成果報告を行うなど中国語で活発な意見交換を行いました。両氏からは今後の日中交流発展への期待が表されました。
3/10(土)
午前中に修了認定書を授与しました。その後、浅草探訪。日本文化の伝統に満ちた浅草寺と多くの人を魅了する雷門商店街を見学。外国人の多さに驚き、庶民的な活況のある雰囲気を味わいながら自由に買い物を楽しみ日本の休日を堪能した後、羽田空港より再会を約束して帰国の途に着きました。