2017年度活動レポート(一般公募コース)第425号
バングラディシュ若手研究者との共同研究プログラム
熊本大学 大学院自然科学研究科 物質生命化学専攻 超分子化学ラボからの報告
本科学技術体験国際交流では、環境水中の有機分子の高速・高精度分析システムの開発に関する国際共同研究、ならびに本学若手研究者・学生との共同研究、交流を目的として、熊本大学超分子化学ラボにおいて、バングラデシュ人民共和国のダッカ大学から若手研究者4名(教員2名、大学院生2名)を招へいし、2月27日から3月12日の14日間、研修および体験プログラムを実施しました。実施した本国際交流活動の様子を写真とともにご紹介します。
研修・共同研究プログラム
共同研究プログラムでは、環境および環境分析に関する講演会を実施するとともに、環境水中の有機成分の分析を共同で実施しました。環境講演では、熊本大学で研究開発を行っている液体クロマトグラフィ用固定相に関する先端化学講演、またダッカ大学の若手教員によるダッカ市および周辺地域の水環境問題や環境汚染に関する講演を行っていただきました。また、環境水分析では、水の前処理、管理方法、さらに高速液体クロマトグラフィを用いた環境水中の有機成分の分析を行いました。水分析の結果について議論する機会を設けましたが、熱心に意見交換、討論をしている姿が大変印象的でした。
また、本学の教員による超分子化学、材料化学分野の先端科学講義を行うとともに、若手研究者および学生による研究テーマのショートプレゼン、また普段の生活や文化などを紹介するグループディスカッションなどを実施し、相互理解を深めるとともに、若手研究者交流の機会としました。これらの活動を通して、互いに理解しあうと同時に刺激を受ける良い機会になったのではないかと思います。
体験プログラム
体験プログラムでは、県内の研究・開発拠点である熊本県産業技術センターを訪問、見学するとともに、同センターが中心となって熊本地域で推進されているJST地域イノベーションプログラムについても説明を受けました。また、熊本市の上水道施設を見学しました。熊本市は地下水に恵まれた水の国であり、水環境や環境汚染について学ぶ良い機会になりました。また、阿蘇の伏流水を利用した飲料メーカーも訪問し、熊本の水環境と水の利用について体験してもらうことができました。
滞在中、研究交流を行う一方で、大学や周辺地域の案内を行う中で、互いの国や文化について相互に知り合う良い機会となりました。週末には、阿蘇エリアの国立公園を訪問し、阿蘇地域の水源や火山博物館を訪問し、伏流水を生み出すメカニズムや水環境の保全状況等について学習してもらいました。また、熊本市内、熊本県内の歴史的な史跡等を巡り、日本文化にも触れる機会を得るとともに、熊本城や熊本大学の修復等を含め、熊本地震からの復興の様子も見学していただく機会を設けました。熊本の自然や歴史を楽しみながら学ぶことで、あらためて日本文化への関心が深まったようでした。
本プログラムを実施するにあたり、ご協力いただきました本学の教職員の皆様ならびに国際交流に積極的に参加してもらった本学の若手研究者、大学院生に感謝いたします。また、多大なご支援をいただきましたさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。