2017年度活動レポート(一般公募コース)第424号 (Aコース)
材料・ナノテク研究の最先端:体験から共同研究へ
物質・材料研究機構 学術連携室からの報告
物質・材料研究機構(NIMS)は、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、平成30年2月13日から2月21日までの9日間にわたり、タイ王国Chulalongkorn Universityから10名の大学院生(博士課程8名、修士課程2名)と1名の教員を受け入れました。当機構が本プランを利用し学生を受け入れるのは初めての試みであり、将来同大学との研究連携・長期的な学生交流協定の締結を視野に入れ、学術連携室が企画を立案・申請し、採択されました。
招へい院生たちは同大学のThe Petroleum and Petrochemical College、Faculty of Science、 Faculty of Engineering、Faculty of Pharmaceutical Sciencesから、特に優秀な院生として選抜され、日本の優れた材料科学技術を体験し、将来NIMSを再訪し共同研究を行う準備となるように計画されました。
本プログラム1日目となる2月14日のオリエンテーションには、同大学から副学長Prof. Kiat RuxrungthamとThe Petroleum and Petrochemical College学部長Prof. Suwabun Chirachanchaiも視察に訪れ、招へい学生らとともに橋本和仁NIMS理事長を訪問されました。
9日間の滞在中、プログラム参加者はエネルギー・環境材料研究拠点、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点、構造材料研究拠点、機能性材料研究拠点を訪問し、機能性ポリマー、ナノ多孔性材料、水素製造、二次電池材料などの先駆的機能性材料を見学するとともに、各分野の第一線で活躍する研究者とのディスカッションを行いました。また、技術開発・共用部門では、ナノファブリケーション施設や、微細構造解析プラットフォーム等を見学しました。参加者は数十台の透過電子顕微鏡をはじめとする研究設備の充実ぶり、また技術スタッフの手厚いサポート体制に感銘を受けていたようです。
2月16日はNIMSも出展したnano tech 2018 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議と日本科学未来館を見学し、最先端科学技術を体験する機会を得ました。また2月17日はつくば市内の研究機関をバスで巡るつくばサイエンスツアーに参加し、「科学の街・つくば」が誇る多様な分野の研究成果をじかに見学・体験するとともに、つくば市が高水準研究と教育の拠点となるべく設計された国内最大の学術都市である歴史を学びました。
最終日には招へい院生らによる研究成果発表会および修了式を開催し、研究内容や将来性、プレゼン方法などの面でNIMS研究者から鋭い質問やアドバイスを受けました。最も優れたプレゼンテーションを行った上位3名には、島津製作所から「Shimadzu Award」としてクリスタルの楯が贈答されました。クリスタル製の見事な楯を手にした院生からは、驚きと喜びの声を聴くことができました。
受け入れ機関として感銘を受けた点は、参加者が礼儀正しく、終始真摯な姿勢で見学をしていたことです。堪能な英語でコミュニケーションにも支障がなく、長期にわたりNIMSで研究滞在が可能であると事前に確認できたことも大きな成果でした。参加者もより強くNIMSへの興味を抱いたようで、今後二者間で継続した研究交流を行われることが強く期待されます。
最後に、本プログラム実施の機会をくださったJSTの皆様と、本プログラムの実施を支えてくださったNIMS各研究拠点の研究者の皆様、競争的資金室ご担当者様に深く感謝申し上げます。