2017年度活動レポート(一般公募コース)第423号
東海地方の建築と技術に触れる1週間
名古屋工業大学大学院工学研究科准教授 夏目 欣昇さんからの報告
2018年3月7日(水)から3月15日(木)の9日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、モンゴル国新モンゴル工科大学の教員1名並びに学部生8名及び大学院生2名の系11名が来日しました。名古屋工業大学(以下、名工大)を拠点に建築技術を要として、東海地方のものづくりを学ぶ研修を行いました。
●プログラムの狙いと構成生産(材料・構造)およびデザイン(意匠・計画)を多角的に学ぶことを研修の軸として、まず技術面の講義を実施し、その後、その関連成果を実際に見学することで理解を深めるプログラム構成としました。
●活動内容2日目
建築材料について建材・設備を見ながら講義を受けました。次に、建築構造の講義後、実験室を見学しました。その後、名古屋市科学館へ移動し、国内有数の科学技術展示を見学しました。夕方、名工大にて、歓迎会を実施しました。歓迎会には、招へい者ならびに、伊藤洋介助教、佐藤篤司准教授をはじめ、梅村恒准教授、須藤美音准教授、今回プログラムをサポートする名工大の建築系学生が参加し親交を深めました。その際、Ganzorig先生と学生代表から新モンゴル工科大学の様子について発表されました。
3日目
本日の講義後、徳川美術館・徳川園を訪問し、日本の伝統工芸、日本式庭園を見学しました。その後、名古屋城を見学し、日本の城郭建築の伝統技術、復元技術を学びました。
4日目
国内屈指の美術館建築である豊田市美術館(谷口吉生氏設計)を訪問、解説付きで特別展、常設展を見学しました。その後、トヨタ博物館を訪問し、自動車産業史を学びました。解説を聞きながら、展示された彩り豊かな自動車を食い入るように鑑賞しました。
5日目
みんなの森ぎふメディアコスモス(伊東豊雄氏設計)を訪問。休日に市民で賑わう施設の様子と最新木造屋根架構を実見しました。室内を包むような木造架構がモンゴルのゲルに似ていて面白い、と参加学生が感嘆していました。その後、トヨタ産業技術記念館を訪問。ここでは、れんが造りの工場建屋から博物館へと再生された建築の優れた転用事例を見るともに、繊維と自動車の生産技術の進展を動態保存された機械の実演を見ながら学びました。
6日目
井上雅弘教授からデザイン研究の講義を受けました。プロトタイピングを行って制作されたゲーム試作機などを実見しました。午後には、これまでの講義・見学内容をふまえた、建築設計演習を実施し、その成果を発表・講評しました。
7日目
建築計画の講義を夏目が実施し、学生制作の実例紹介を行いました。その後、吹上ホールへ向かい、中部地方の建築系学生が卒業設計を出展するNagoya Archi Fes 2018(中部卒業設計展)を見学。日本の建築教育の集大成である卒業設計の成果を実際に見て、参加学生はその質と熱気に大変刺激を受けていました。
8日目
多治見市にあるモザイクタイルミュージアム(藤森照信氏設計)とセラミックパークMINO(磯崎新氏設計)を訪問し、焼きものの技術と文化を学びました。モザイクタイルを使った小物制作、里山風景とその保存に配慮した建築計画を体験しました。
9日目
栄のオアシス21に集合し、プログラムを振り返り、解散式を行いました。
参加学生は各自の専門的視野を拡げるべく積極的に研修に取り組んでくれました。また多くの学生から「日本へ留学したい」と具体的な相談を受けました。
本プログラムにより、モンゴル国の次代を担う優秀な青少年へ我が国の歴史文化から先端技術まで幅広く紹介することができました。大過なく遂行することができましたのは、ひとえに関係各位の絶大なるご支援によるものであり、大変ありがたく心よりお礼申し上げます。