2017年度活動レポート(一般公募コース)第422号
アジアにおける歴史的都市の持続的発展を担う人材を育成する
九州大学からの報告
九州大学の環境設計グローバル・ハブ(以下、eghub)は、昨年に引き続き、2018年2月15日から24日までの10日間、「アジアにおける歴史的都市の持続的発展を担う人材育成のための国際交流型環境・遺産デザイン教育研究プログラム」を実施しました。
eghubのglobal memberであるアジアの5つの大学(ホーチミン市建築大学、カンボジア王立芸術大学、ペリタ・ハラパン大学(インドネシア)、シラパコン大学(タイ)、マレーシア科学大学)から若手研究者と大学院生を1名ずつ、マレーシアからの参加者が急病のため来日を取りやめたので、合計9名をさくらサイエンスプログラムの支援で招へいしました。また、別の予算で、シンガポール国立大学、台北科技大学、プレミア大学(バングラデシュ)から教員を招へいし、日本を含め9カ国にも及ぶ参加者でこの国際交流プログラムを実施しました。
初日は、九州大学芸術工学部環境設計学科4年生の卒業設計発表会に参加し、ポスターセッションを通じて、学生の設計提案から日本の都市遺産保全の現状を学びました。卒業設計発表会の後は、本学の学生や教職員を交えたウェルカム・パーティーが行われました。
2日目は、福岡市内の現代建築を見て回りました。3日目以降、環境設計学科3年生の歴史環境実習に同行し、日本の都市遺産保全の現状を見学するエクスカーションに出かけました。福岡県大刀洗町と熊本市では教会建築を見学し、宗教建築の維持保全活動について学びました。さらには、熊本城や阿蘇神社といった熊本地震で被害を受けた歴史的建造物の修復現場を訪れ、震災復興と文化財の維持保全について学びました。京都では、二条城の修理現場を見学し伝統建築の保存方法について学び、重要伝統的建造物群保存地区である産寧坂を見学し町並みの保存について学びました。
その後福岡に戻り、eghubが現在取り組んでいるバングラデシュ・チッタゴンのイギリス植民地時代のヴァナキュラー建築の保全活動の勉強会に参加し、シンガポール国立大学やプレミア大学の先生方から歴史的建造物のアダプティブリユースについて学びました。
最終日には、Current State and Challenges of Urban Heritage in Asiaというタイトルでシンポジウムを実施しました。シンガポール国立大学と台北科技大学の先生の基調講演のあと、各国の参加者がそれぞれの国の歴史的都市の現状と課題を発表し、お互いの国の都市遺産保全の現状について情報共有を行いました。また、参加者が日本で学んだ知識をもとに、それぞれの国の都市遺産保存の課題について意見交換を行いました。最後にクロージング・パーティーを行い、修了証を交付するとともに親睦を深めました。
このような機会を作って頂いたさくらサイエンスプログラムに感謝申し上げます。これをきっかけに、eghubを中心としてアジア間の教育・研究の交流をますます活発にしていきたいと思います。
(環境設計グローバル・ハブ、英語名称:Environmental Design Global Hub、略称:eghub。eghubの活動については、 ウェブサイト(https://www.eghub.design.kyushu-u.ac.jp/)やfacebookページ(https://www.facebook.com/eghub.ku/)をご覧ください)