2017年度活動レポート(一般公募コース)第408号
中国の大学生が和歌山大学の独創的なロボット研究を体験
和歌山大学からの報告
【概要と効果】
平成30年2月25日から3月3日にかけて、中国西安交通大学の大学生10名および引率教員1名を招へいし、和歌山大学における先端的なロボット教育と科学研究の体験学習プログラムを実施しました。
この短期研修プログラムは、「RT-Movers」と「農業用アシストスーツ」の体験学習、卒業研究発表会、学生の研究デモシステムの体験、国際学生部門の日本文化体験などへの参加を通じて、西安交通大学の学生が和歌山大学システム工学部の教育・研究への取り組みを理解してもらう同時に、和歌山大学の学生へのグローバル化教育にも貢献できました。
【実施状況と参加者の声】
2月26日(月)
午前、渡部図書館長による館内見学をしながら、大学紹介、和歌山大学・日本・世界の図書館の改革の現状などを説明し、活発な質疑応答が行われました。
西安交通大学には立派な銭学森図書館がありますが、学生たちは日本の大学の図書館の清潔感と効率的なスペース利用に感心しました。
午後、システム工学部八木名誉教授より、第7回ロボット大賞優秀賞の「農業用アシストスーツ」に関する動作原理を説明しました。機械系、制御系の学生からシステム構成や、応用・販売の可能性まで熱心に質問し、4名の学生が実機を試着し4種類の基本動作のアシストを体験しました。
2月27日(火)
午前、国際学生部門の長友教授、山田特任助教の指導より、和室で茶道、和服試着、日本の昔の遊びを体験しました。
午後、システム工学部中嶋教授よりロボット工学の研究背景・目的、ロボットシステムを制御するプログラミング技法などについて講義し、サイバースローン(Cybathlon)国際大会で4位入賞を果たした電動車椅子(RT-Movers)の動作原理を説明しました。産学連携イノベーションセンター内で、RT-Moversを含み、中嶋教授が研究開発している複数種類のロボットの実演が行われました。
2月28日(水)
県民交流プラザ和歌山ビッグ愛で開催されたシステム工学部精密物質学科の卒業研究発表会に特別参加し、卒業生の口頭とポスター発表セッションにそれぞれ参加しました。地元企業を含む懇親会においては、英語、日本語、中国語を交えて教員・学生と様々な交流が行われ、学生同士がWeChat(微信)を交換しました。
3月1日(木)
午前、空海が仏教留学した青龍寺から500メートル離れている西安交通大学の大学生が世界遺産高野山・奥之院を散策し、千年を経た国際交流が実現しました。午後、九度山町役場と真田ミュージアムで、職員の紹介によって、日本の歴史、文化、自然、特に和歌山と西安との深い関係を理解できました。紙遊園で中国から伝わって来て日本で伝統を守っている、高野紙の紙漉体験を行いました。
3月2日(金)
午前、情報系の両研究室から提供した5つの研究デモシステムを体験しました。昼、両大学の学生同士の食事懇親会を通じて交流を深めました。
午後、瀧学長よりプログラム修了証書を交付し、AIの現状と将来について討論しました。
参加学生のアンケート自由記述欄には、日本の科学技術のレベルの高さ、教員の真面目さ、学生同士の融和雰囲気、一流の設備に感心している感想は多数寄せられています。
●プログラム担当者:呉教授の感想
今回、2回目のさくらサイエンスのプログラムを計画し、実行しました。日本文化以外のプログラム内容はシステム工学部に一本化しました。分担する教職員たち、並びに九度山町は皆1回目よりバージョンアップされた内容を提供していただきましたので、中国の中でもトップレベルの学生たちが満足して帰国しました。ほとんどの学生が将来研究者としてまた日本に来るとアンケートに記入していました(西安交通大学の中でも最優秀の学生たちなので、ごく少数アメリカへ留学予定で、ほとんどの学生は修士・博士一貫生です)。
2018年5月13日西安交通大学で開催予定の国際大学連盟の展示会で、このさくらサイエンスプログラムに参加した学生たちが和歌山大学の紹介を担当することも、今回皆さんの努力成果と思います。
最後ですが、経済学部の留学生が今回のプログラムのTAを分担することによって、システム工学部の学生の研究などを見るチャンスに与えることができ、該当学生が「今までとは全然違う和歌山大学を見ました」という声も心の中に響いていました。今後、留学生(日本人の学生も含むかも)に色々な学部の中身を見ていただければよろしいかと思いました。