2017年度活動レポート(一般公募コース)第404号
人為大気汚染物質の主要排出域における連携教育研究拠点の構築
〜電子顕微鏡分析技術を用いて
熊本県立大学環境共生学部 長沼歩さん、張代洲さんからの報告
さくらサイエンスプログラムの実施に伴い、中国の河北行程大学の学生・教員合わせて7名が来日し、2017年12月5日から14日まで滞在しました。滞在中は熊本県立大学環境共生学部環境資源学科の大気環境学研究室と合同の研究発表会、研究室所有の大気環境測定施設や九州電力苓北火力発電所の見学、熊本県立大学で走査型・透過型電子顕微鏡の分析講習など、様々な活動を行いました。
まず、12月6日に大気環境学研究室との合同発表会を行いました。両大学の院生がペアを組んで発表会の進行を行いました。協力して慣れない進行を行いました。学生はもちろん、教員も発表を行い、お互いの研究に対して質疑応答も行いました。両国で行われている観測や研究の発表を聞き、また、所属研究室で行っていない観測や研究を知り、お互いに知識を深めることができました。母国語以外での口頭発表は学生たちにとって良い経験になりました。夜には懇親会を行い、親睦を深めました。特に、自己紹介では中国名を日本語で、日本名を中国語でどう発音するかなど、言語の違いを感じました。
12月7日と8日は、天草へ向かいました。天草では、熊本県立大学所有の大気環境測定施設の天草環境リサーチユニット(AERU)と九州電力苓北火力発電所の見学を行いました。
AERUではPM2.5、PM10濃度計やガス計、粒子数濃度計といった観測装置を用いた観測の様子の観察を行いました。また、AERUの設置経緯や現状および研究への応用などの説明を、同行者の張教授より受けました。観測地周辺も見学し、都市部との観測の違いを実感しました。九州電力苓北火力発電所では、火力発電の原理や自然への影響などの説明を受けました。全員興味津々に説明を聞き、質問等を行っていました。
12月9日と11日、12日の3日間で走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた粒子の形状観察や成分分析方法について、大学院生から説明を受けました。また、両電子顕微鏡の違いや特徴の説明も受けました。それにより、同じサンプルでも走査型と透過型では形状観察が異なり、表面に着目したい場合や内面に着目したい場合にどのように分析していくのかを学びました。観察後のデータ処理方法や画像処理に関する講習も受けました。
12月13日は終了式を行いました。代表として李教授からあたたかい感謝の言葉が述べられ、張教授から来日者に修了証書が手渡されました。