2017年度活動レポート(一般公募コース)第398号
タイの若手研究者が宮崎で産業動物防疫対策について学ぶ
宮崎大学からの報告
宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター(CADIC)では、2017年12月8日から12月17日、さくらサイエンスプログラムにより、タイのチュラロンコーン大学、カセサート大学、マヒドン大学、チェンマイ大学、コンケン大学(いずれも獣医学部)から研究者4名、学生1名、農業協同組合省・畜産振興局の研究所および動物衛生研究所から研究者5名の合計10名を招へいしました。
CADICは、実践型教育・研究を実施できる広大な畜産現場を有し、過去に口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの防疫活動を行政や産業動物獣医師等と連携して実施した経験もあります。本プログラムは、これらの利を活用して、アジア諸国の産業動物防疫対策に携わる人材の高度専門家を育成することを目的として実施されました。
来日した翌日に東京の日本科学未来館を訪問して最新の科学技術を学んだ後、宮崎県へ移動しました。宮崎大学では、研修初日にオリエンテーション、学長表敬訪問、ウェルカムパーティを行ない、翌日から講義・実習に加え、交流セミナーや文化交流を行いました。
2010年宮崎県で発生した口蹄疫をより深く理解してもらうため、講義だけでなく実際に口蹄疫が発生した地域を見学すると共に、口蹄疫メモリアルセンターを訪問し、当時の防疫活動がいかに困難であったかを体感してもらいました。その他、狂犬病の制圧に関する意見交換や、CADICで開発された口蹄疫ウイルスを簡易・迅速に診断できる遺伝子診断法についての実習を行いました。
プログラムの合間に、着物の着付けや茶道を体験しました。参加者は実際に着物を着て写真撮影を楽しんでいました。また茶道を通じて、日本の伝統文化である「様式美ともてなしの心」を学ぶことができました。
最終日には、宮崎大学の留学生を含む大学院生との交流セミナーを行いました。本学の学生と研修生が現在行っている研究成果を発表して意見交換を行なうことにより、学生や若手研究者同士の交流を深めることを目的として企画しました。研修生は本学で行われている研究に非常に興味を示し、活発に意見交換を行っていました。一方で、日本国内では行われていない象の研究発表などもあり、本学の学生にとっても非常に有意義な時間を過ごすことができました。
今回、さくらサイエンスプログラムから御支援頂いたことで、本学の学生と研修生は産業動物防疫をテーマとして有意義な交流をすることができ、将来的に国際防疫活動に貢献できる人材の育成に繋がることを期待しています。このような貴重な機会を与えていただき、心から感謝申し上げます。