2017年度活動レポート(一般公募コース)第397号
日中共同で取り組む未開拓農業工学研究
名古屋大学からの報告
2017年12月3日から15日にかけて、中華人民共和国・中国農業大学の大学院生3名が同大学韓東海の引率によって、名古屋大学大学院生命農学研究科を訪問し2週間の共同研究プログラムを行いました。
「近赤外分光法およびテラヘルツ時間領域分光法に基づく木材の非破壊品質評価」に関する実験・解析・議論を通じて、論文投稿に資する研究成果の獲得を目指し、また、分光器メーカーおよび植物工場の見学を通して、農工連携の技術開発に関する知見を深めました。
12月3日
中部セントレア空港に到着し、名古屋市内のホテルに移動しました。
12月4日
名古屋大学に移動し、スケジュール説明および研究室見学を行いました。その後、川北一人生命農学研究科長および下村吉治同副研究科長を表敬訪問しました。
12月5日
韮崎市にあるテラヘルツ時間領域分光器製作販売会社(日邦プレシジョン)を訪問し、工場見学を行いました。また、1990年代まで電磁波の未開拓領域と呼ばれていたテラヘルツ領域電磁波の新しい利用方法や、中華人民共和国におけるテラヘルツ分光技術の現状について活発に議論しました。
12月6日
八王子市にある近赤外分光装置製作販売会社(相馬光学)を訪問し、工場見学を行いました。また、牛肉やまぐろ、肥料などに特化した近赤外分光器の設計について特に活発に議論しました。また、中華人民共和国における近赤外分光法の現状についても活発に議論しました。
12月7日
稲垣哲也生命農学研究科講師による導入講義を受け、テラヘルツ時間領域分光法による木質素材の品質評価の研究例、およびその解析方法について学びました。その後、翌日からの測定に用いる試料の調整を行いました。
12月8日
テラヘルツ時間領域分光器および近赤外分光器を用いて、密度や含水率、ミクロフィブリル傾角が異なるスギ試料のスペクトル測定を行いました。
<12月9日>
引き続きテラヘルツ時間領域分光器および近赤外分光器を用いて、密度や含水率、ミクロフィブリル傾角が異なるスギ試料のスペクトル測定を行いました。
12月10日
Matlabによるスペクトルデータの一括インポート用のファンクションを作成しました。これにより取得したデータを一括でインポートできるようになりました。
12月11日
インポートしたデータからテラヘルツ領域の複素屈折率および近赤外領域の吸光度を算出しました。
12月12日
亀岡市にある植物工場(SPREAD)を訪問し、工場見学を行いました。レタスの植物工場における栽培や流通に関して説明を受けた後、中華人民共和国における植物工場の現状についても活発に議論しました。また、植物工場で栽培したレタスの試食を行いました。さらに帰路では、植物工場における分光手法の導入可能性に関して議論しました。
12月13日
測定したテラヘルツ領域の複素屈折率および近赤外領域の吸光度から、木材の密度や含水率、ミクロフィブリル傾角を推定するモデル関数の作成および評価を行いました。これにより、木材の密度が十分な精度で測定できること、含水率やミクロフィブリル傾角との相関を見出しました。
12月14日
今後の解析や論文作成に関して議論を行い、情報交換や連絡を密に取り合い論文発表までつなげることを確認しました。その後、今回の科学技術交流活動プログラムの感想や学んだことなどについて参加学生が発表し、最後に稲垣哲也講師が修了書を授与しました。
12月15日
一行は中間人民共和国に向けて帰国しました。