2017年度 活動レポート 第394号:首都大学東京

2017年度活動レポート(一般公募コース)第394号

リチウム二次電池の高性能化に関する日中共同研究プログラム

首都大学東京からの報告

2018年2月26日から3月7日の10日間の日程で中国科学院青島生物エネルギー・プロセス研究所に在籍する馬 福瑞 氏(大学院生)、金 永成 氏(教員)の2名が首都大学東京 金村研究室に滞在し、リチウム二次電池の高性能化に関する共同研究を実施しました。

プログラムの前半では、リチウムイオン伝導性のセラミック電解質を用いた全固体電池と呼ばれる新しい電池の実現へ向けて、セラミック電解質の合成方法やその成形方法の実習に取り組みました。馬さんはセラミック化学を専攻する博士課程の学生で、材料探索などの基礎分野を中心に研究に従事してきました。今回の滞在で電池という実用に近い分野に触れて、新しい考え方や手法を学ぶことができたと大変感謝していました。実施機関のメンバーもいつもと違った切り口で意見や質問をもらったことで、お互いに大変刺激のある良い交流となりました。

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セラミック電解質を合成に取り組む実験風景

プログラムの後半では、単粒子測定という粒子一つの特性を評価する方法を用いて、リチウム二次電池の正極材料の評価に取り組みました。大気中の水分や酸素の影響を除いて測定しなければならないため、不活性ガスが充填されたグローブボックスの中ですべての操作を行う必要があります。これがなかなか大変です。厚手のグローブ越しに細かな作業が必要なため、慣れるまでかなり悪戦苦闘しましたが、粘り強く何度も何度も挑戦し、最後には目的の材料の電気化学特性を評価できました。馬さん、おめでとう!

写真2
単粒子測定に悪戦苦闘

研究の合間には、キャンパス内の見学や都内観光、ウェルカムパーティーの開催など、研究面だけでなく、文化面での交流も盛んでした。八丈島産の「くさや」にチャレンジしてもらう機会もありました。馬さんは大変好みのようでしたが、金さんはちょっと苦手とのことでした。中国にも似た風味の臭豆腐というものがあり、中国を訪れた際には是非チャレンジして欲しいとのことです。

写真3
研究ミーティングの風景

本プログラムをきっかけに、研究面、文化面で大変密なコミュニケーションを取ることができました。今後、より一層連携を深めて共同研究に取り組むことが決まり、このような貴重な機会を提供していただいた、さくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。