2017年度活動レポート(一般公募コース)第387号
ミャンマーとカザフスタンの若者が情報通信と物流インフラの未来について学ぶ
木更津工業高等専門学校助教 SAPKOTA ACHYUTさんからの報告
ミャンマーのマンダレー工科大学とカザフスタンのユーラシア国立大学からの、それぞれ教員1名と学生3名の合計8名の招へい者は、2017年12月1日に来日しました。
翌2日に木更津工業高等専門学校でオリエンテーションを行い、「次世代コネクティビティワークショップ:情報通信と物流インフラの未来」をテーマとした6日間の活動を行いました。
ミャンマーは地理的には東と南アジアの架け橋になる優位性がある国で、民政移管以降、経済自由化を急速に推進しており、日本をはじめ様々な国が同国へ産業展開を本格的に検討しています。しかしながら、同国では産業展開の基幹となる物流および情報通信インフラの整備が遅れており、ワールド銀行が2016年に発表した物流パフォーマンス指標ランキングでは世界の113位となっています。また、国境を接する国として、中国(ランキング27位)およびタイ(ランキング45位)があり、南にはインド海につながっているため物流パフォーマンスポテンシャルが高い国です。
同様にカザフスタンはアジア、中東とヨーロッパをつなげる地理的優位性があるにも関わらず、物流インフラは進んでいません(物流パフォーマンス指標ランキング:77位)。同国の経済は、現在まで炭化水素、鉄・非鉄金属等、多種多様な地下資源によって成長してきましたが、これから「資源依存からの脱却と産業多角化」という長期的経済対策を計画しています。それらの手段の一つとして、「国家安全保障、政治的安定および経済成長増進のためのインフラ発展」が掲げられています。
そこで、今回の活動は、両国の代表的な大学の学生と教員を招へいし、日本における情報通信と物流インフラ、その関連研究および将来的ビジョンなどの知識を与えることを目的としました。
具体的な活動としては、3日~5日の3日間で、日本科学未来館、鉄道博物館および産業技術総合研究所サイエンス・スクエアつくばを見学しました。
日本科学未来館ではヒューマノイドロボットの実演と拡張現実感技術を用いたジオ・プリズムに強く関心が集まりました。鉄道博物館では、鉄道の科学技術に関する原理・仕組み、歴史と最新の動向について学ぶことができました。産業技術総合研究所サイエンス・スクエアつくばでは、様々な分野における日本の最先端研究活動とその成果についての説明を受け、日本の科学技術研究の動向と未来について短時間で理解できる機会となりました。
6日~7日の2日間は、木更津高専において講演、および学生ポスター発表を含めた効果的工学教育ワークショップに参加しました。ワークショップでは、ミャンマー、カザフスタンを含めアジアの情報通信と物流システムの現状に関する講演会が行われました。
機械工学の専門家である、木更津高専の前野一夫校長による「交通関連(鉄道および飛行機)技術の最先端研究と今後の課題について」の講演もありました。
他、海外、主にアジア地域の情報通信と物流システムの現状として、
- ・カザフスタンユーラシア国立大学Shakhmov Zhanbolat准教授「Engineering education system in Kazakhstan and status of information and transportation infrastructure」
また、情報通信と物流の現状と発展について、
以上の内容で発表が行われました。
学生ポスターセッションでは、日本を含めミャンマー、カザフスタン、シンガポールの学生による59件の発表がありました。工学分野における様々な研究内容についてのポスター発表は、学生達にとっては、自分の研究成果を当該分野の専門家にはもちろんのこと、様々な分野の学生・専門家や一般の参加者にもわかりやすく説明する方法を学ぶ機会となりました。
8日には交流事業のまとめとして招へい者のアンケート、今後の展開、課題について意見交換等を行いました。将来的には日本での留学、そして日本の高等教育機関との共同研究および日本の企業と連携し、日本とミャンマーおよび日本とカザフスタンの架け橋になる人材の育成につながることを期待しています。