2017年度活動レポート(一般公募コース)第380号
PBL活動を通し、日中の学生達が協力して福祉機器技術を開発する
静岡理工科大学機械工学科教授 十朱寧さんからの報告
1.静岡理工科大学と中国計量大学・浙江工商大学との学術交流
中国計量大学と浙江工商大学はともに杭州に位置する総合大学であり、本学とは2008年と2005年に学術協定を締結しました。これまでに本学は、両大学から数多くの留学生の受け入れ、また両大学との教員相互訪問などを行ってきました。
2.概要
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、12月5日(火)から12月11日(月)の期間に中国計量大学から5名、浙江工商大学から5名、計10名の学生を本学へ受け入れ、本学の学生とともに「福祉技術」をテーマにPBL(Project-Based Learning)を実施しました。また、浜松地域の自動車メーカーなどの見学を通し、日本の高度なものづくり技術に対する見聞を広め、日本のものづくり技術と精神を体得してもらいました。
3.学長表敬訪問と研究教育施設見学
2日目の午前に、本学の野口博学長を表敬訪問したあと、空力実験室やエンジンベンチ室等を設置し、学生の自由なものづくりを支援する「やらまいか創造工学センター」などの学内施設を見学しました。中国の学生達は本学の研究・教育設備に関心を示していました。
4.PBL活動
2日目の午後から4日目の夕方まで、本学の「やらまいか創造工学センター」にて、中国からの10名の学生と本学の8名の学生が5グループに分かれて福祉技術に関するPBL活動を実施しました。学生達は図面を書いたり、模型や電子回路を作ったりして、少しずつ目標に近づく様子が伺えました。
4日目の午後に学生達はグループごと発表し、複数の教員が審査を行いました。
審査の結果、電動車椅子の自動運転システムについて発表をした「Automatic Wheelchair Based on Computer Vision」が最優秀賞に選出されました。
5.文化交流
5日目は富士山視察を行いました。好天気にも恵まれ、富士山がくっきりと見えて、忍野八海、浅間神社、白糸滝など日本の自然と歴史に触れることができました。
6.浜松科学館、スズキ歴史館、春華堂うなぎパイ工場見学
6日目には、本学での実習で得た知識を深めるため、浜松市内の科学館や工場を見学し、日本の先端技術や浜松地域における自動車産業の歴史と技術の高さを学びました。
7.まとめ
本学は昨年度に引き続き、2回目のさくらサイエンスプログラムとなり、今年度はPBL活動を中心に実施しました。短い時間の中で、福祉デバイスの企画、設計、製作、調整、評価、PPTと発表などを完成させなければいけないため、かなりハードルが高いと思われましたが、日中の学生の努力と連携により、学生達は様々な困難を克服して、教員の期待に見事にこたえてくれました。
発表会では、各発表に特色があり、相当の知恵と技術が凝縮されたものばかりでした。
一方、中国の学生からは、「静岡の空が青い」、「浜松の自動車技術力がすごい」、「富士山がきれい」、「日本へ留学したい」などの意見があり、さくらサイエンスプログラムの中国側参加者にとっては、日本の環境と文化の良さ、技術の高さへの理解が深まったことが伺えます。さらに、この活動に参加した本学の学生にも大変良い刺激となりました。現在も学生達は交流を続けているようです。
最後に、多大な支援を頂いたさくらサイエンスプログラムに対して感謝の意を表します。