2017年度 活動レポート 第367号:北陸先端科学大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第367号

マレーシア-日本国際工学院(MJIIT)学生の研修

北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科
情報科学系 吉高淳夫さんからの報告

MJIIT(マレーシア-日本国際工学院)は、クアラルンプールの中心部近くに位置するUTM(マレーシア工科大学)内に属する組織です。その名前からも分るように日本政府や政府関係組織、日本人研究者が設立や運営に大きく関わっているのですが、在籍する学生皆さんが日本への留学経験等を有しているわけありません。今回、2018年1月23日から2月1日の日程で学部生、大学院生合わせて9名をさくらサイエンスプログラムのご支援によりお迎えし、視覚情報処理並びに眼球運動計測・分析に関する研修に参加してもらうと共に、わが国の科学技術や文化に関する理解も深めてもらいました。

本学への訪問は、計画時には予想していなかった、日本各地が記録的な大雪に見舞われた時期に始まりました。搭乗予定だった国際便は天候の影響で欠航。振替便は到着時間が夜遅くになり、小松空港への接続便は次の日の朝発とのことで、東京に一泊する必要が生じました。急いで都内の宿泊施設を確保するとともに私自身も羽田空港の国際線ターミナルへ向かい、到着出口で彼らを出迎えるという予定外の対応で受け入れ期間が始まりました。

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JAIST中庭にて

本学に到着してからは、近くの宿泊施設と大学研究室の間を雪が降る中で毎日行き来しながら、研究室での研修が始まりました。基本的な内容に関してチュートリアルを受けてもらった後に、参加学生は「観光情報検索・閲覧時の眼球運動特性と興味の関係」「画像の幾何学的変換処理」など実習のテーマを主体的に決め、プログラミングや視線計測装置を使った実験を進めました。各学生は私や研究室の大学院生に積極的に質問しながら熱心に課題に取り組んでいました。

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研究室内での活動

日本の科学技術や歴史、文化についてより理解を深めてもらいたいと考え、週末に北陸新幹線にて東京に移動し、日本科学未来館、国立科学博物館、東京国立博物館を見学する予定を組み込みました。日本科学未来館ではASIMOをはじめとした様々なロボットのデモに立ち止まり、国立科学博物館では初期の計算機やテレビ実験装置などを興味深く見つめていました。次の日には理化学研究所・計算科学研究機構のスーパーコンピュータ「京」を見学しました。「京」を目の前にして全員がその規模の大きさに大変驚いていました。モニタに映し出される各ユニットの稼働状況や温度管理状況の表示を見ながら、熱心に質問する姿も見られました。

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スーパーコンピュータ「京」見学

最終日には各々が取りまとめた成果を発表し、取り組んだ課題の意義をより高めるための改善点についてディスカッションするとともに、実習時の学生の行動と関連させながら、研究の進め方のポイントについてアドバイスをしました。

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研究室での発表・ディスカッションの様子

参加学生が無事帰国した後、MJIITを訪問する機会がありました。再会した学生は、「日本での体験は全てが素晴らしいものだった。今でも度々思い出す。」「もう日本が恋しくなって、また訪れたいと強く思っている。」などと口々に語ってくれました。このたびの体験をきっかけとして自己研鑚に励むと共に日本への関心をさらに深め、両国間の発展に貢献してもらえることと期待しています。