2017年度活動レポート(一般公募コース)第357号
インドとの学術研究交流を理学的観点から推進する
大阪大学大学院理学研究科物理学専攻からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、大阪大学大学院理学研究科物理学専攻を中心として、平成29年1月11日(木)から1月20日(土)までの10日間、インドの物理学分野のトップ大学から10名の物理学の学生を招へいしました。参加した学生は、インド工科大学ボンベイ校から2名、ムンバイ大学から2名、プネン大学から2名、デリ大学から2名、そしてタタ基礎科学研究所から2名でした。10名のうち4名は女子学生でした。
本プログラムは、物理の基礎研究の理解、物理応用としての企業訪問、そしてインドと日本の文化交流の三本柱から構成されました。
初日
到着後、本プログラムについて説明をしました。
2日目
大阪大学短期留学特別プログラム(OUSSEP)の遠足に参加し、淡路島にあるエネルギーパーク洲本や淡路貴船太陽光発電所などを見学しました。この際に、OUSSEPプログラムに参加していた外国人学生や日本人学生と多くの交流が出来ました。
3日目
参加したインド人学生にそれぞれ自分の研究について発表してもらい、相互理解を深めました。昨年は9日目に行いましたが、今年は早い時期に参加学生を理解することができ、その後の議論と交流に大いに役立ちました。3日日の午後は、大阪大学総合学術博物館を見学しました。
4日目
日曜日のオフ
5日目
インド人学生がそれぞれ関心のある物理研究室へ個別に訪問し議論をしてもらいました。それぞれの学生の興味と関心を一層深めようとする試みです。この研究室の個別訪問が非常に好評で、次回はこの時間を長くして欲しいという要望ももらいました。その後、大阪大学理学研究科物理学専攻の紹介と、素粒子・原子核や宇宙物理の物理学の模擬講義を受けました。
6日目
引き続き基礎物理研究に関する講義を受講しました。ランチタイムには、文化交流として、日本人学生と一緒にたこ焼きパーティです。学生同士で盛り上がって活発な交流ができました。それから、大阪大学にある物理関連の大型研究施設を見学しました。まずは、大阪大学核物理研究センターです。加速器の講義の後、陽子サイクロトロンや実験室を見学しました。
7日目
大阪の摂津にあるダイキンのテクノロジーイノベーションセンターと梅田のパナソニックセンターを訪問しました。
8日目
大阪大学のレーザー工学センターにて、大強度レーザー装置の見学をしました。インド人学生は初めて見る大規模実験施設に対して積極的に質問をし、興奮覚めやらぬようでした。夕方には、少し早めに修了証書の授与と送別会を開催しました。写真は、インド独特の文化で、丁寧な挨拶をしているところです。その後、インド人学生に一人ずつ感想を述べてもらいました。
9日目
京都の会社と工場を訪問しました。大阪から京都までバスで移動し、午前はノーベル物理学賞の田中耕一氏で有名な島津製作所に行きました。様々な分析機器などについて英語の説明を聞きながら、インド人学生はたくさん質問していました。特に、細やかに管理された製品の製作過程に非常に関心をもったようです。午後は、京都の堀場製作所を訪問しました。工場見学の後は、京都の散策です。日本の文化を感じてくれたと思います。
10日間はあっという間に終わりました。今回参加したインド人学生のレベルは非常に高くて皆優秀でした。それを感じるだけで準備や運営の苦労は飛び去ってしまいました。このプログラムを通じて、基礎物理研究とか企業での物理の応用とか、いろいろ学んでくれたと思います。しかし、最も重要な成果は、お互いに、インド人は日本の文化を、日本人はインドの文化を理解できたことではないかと思いました。