2017年度活動レポート(一般公募コース)第353号
フィリピンの研究者が日本で最先端の技術を学ぶ
海洋研究開発機構からの報告
海洋研究開発機構(以下、海洋機構)では、フィリピンの研究者2名を招へいし、2017年12月2日(土)~12月22日(金)の日程で、共同研究活動プログラムを実施しました。
海洋資源への関心が世界的に高まっている中、フィリピンにおいても、優秀な若手研究者や技術者を海外に派遣し、最先端の技術を習得する等、人材育成が必要となっています。また、フィリピン政府では、科学技術省を通じ、海洋研究分野における国際協力の重要性を認識し、新たに認定されたベンハム・ライズ海域の共同海洋探査を通じて国際的な研究協力を進める準備が進められており、これに関連して、この地域の将来の地質探査が提案されています。
このような背景のもと、今回のプログラムでは、フィリピン大学大学院生およびフィリピン国土地理院から研究者を招き、海洋機構において海底地質や地形に関する研究を行っている職員等と交流しながら、実際に利用できるデータの解析や議論を行うこととしました。
プログラム全体を通して、海洋機構のみならず他機関の研究者とも交流する機会を設け、特に海底地形や地球物理データの処理技術の習得、およびそのデータに基づく議論を活発に行いました。また、期間中には、海洋機構において「しんかい6500」等の最先端の科学技術に関する施設・設備や、最新鋭の海底広域研究船「かいめい」の見学を行いました。また、日本科学未来館や生命の星博物館の見学も実施し、日本の科学技術の展示について体験する機会を得ました。
招へいした研究者達は、期間中習得した技術を用いて実際の海域データを解析し、プログラム最終日には海洋機構内でセミナーを行い、解析データに基づく探査計画等の議論を行いました。この議論の結果は今後の計画に反映されるとともに、研究者が帰国後も、習得した技術を用いて新たな解析結果が創出されることが期待されます。
研究者はプログラム全体を通して非常に満足しており、また、日本の科学技術に関する展示の工夫に非常に感銘を受けたそうです。今回のプログラムの結果が、今後の日本とフィリピンの間の科学技術交流に貢献していくことを期待しています。