2017年度 活動レポート 第348号:宮崎大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第348号

今日学んで明日をリードしよう
~インドの社会的発展のための生物医学および環境技術トレーニング~

宮崎大学からの報告

宮崎大学では、さくらサイエンスプログラムにより、インドの大学や工科大学からの総勢10名(教員4名、学生6名)を招へいしました。

2017年12月14日、羽田空港経由で宮崎空港に到着した一行を、宮崎大学のスタッフが出迎え、インド側のコーディネーターを務めるK.M. Gothandam 教授から、「暖かい日差しとひんやりした風が宮崎での滞在への期待を高めてくれます」との言葉をいただきました。宮崎市内のレストランで歓迎会が行われました。参加者たちは、宮崎では道路にゴミや汚れがないことに驚いていました。

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宮崎へようこそ(空港で)

翌15日、参加者たちは医学部のオリエンテーションプログラムに登録しました。研究責任者であるHarishkumar Madhyastha博士がプログラムについて説明したあと、参加者たちは大学のカフェテリアで美味しいランチを食べました。
午後からは、それぞれ自分の髪の毛のサンプルとナノ粒子を分析するTEM/SEMの実験を行いました。

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TEM & SEMでナノ素材のデモンストレーション

16日には、霧島酒造(株)の焼酎加工廃棄物リサイクル工場を訪問し、「廃棄物から発電」というコンセプトを学びました。工場の責任者である奥村氏から設備についての説明を聞き、参加者たちは最新システムに夢中になりました。Hemant Kumar Daima博士は「インドでもこの技術を取り入れることはできないだろうか」と感想を述べていました。
午後からは宮崎市の廃棄物リサイクル部門であるエコクリーンプラザ宮崎を訪問し、日本の廃棄物リサイクルのコンセプトを学びました。

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工場見学:霧島焼酎工場:廃棄物から発電

17日は、日本神話の発祥とされる鵜戸神宮と青島神社を訪れました。宮崎県の美しい自然を堪能し、着物の着付けや日本のマナー講座を受講するなど、地元の人々の暮らしを体験しました。また宮崎市近くの村で、着物や食べ物、文化などを含めたインドとは全く違う日本のライフスタイルにも触れました。「この着物を買いたいわ。インドでも買えるかしら?」そんな感想も聞かれました。

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和食を味わう
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大学正門前で着物姿の参加者たち

19日、20日は、大学のNMR施設などでICPSやEDAXを使って、廃水の金属、特にヒ素の分析実験を行いました。

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廃水を分析する参加者たち

研究所での実験のあとは、宮崎大学の学長ならびに医学部長と交流しました。交流会では、インドの諸大学とのコラボレーションの可能性や、さらなる研究のために、学生が再来日して大学のプログラムに参加できる可能性について話し合いました。

参加者から「NMRを通して研究素材を試したい」「このような高性能な設備を使った共同研究作業のプロセスはどのようなものか」などの声があがり、21日は参加者たちのサンプル分析の将来的な研究についてブレインストーミングが行われました。生理学研究所で試験管内繊維素溶解実験も完了し、そのシンプルな手順が参加者たちに大きな驚きを与えました。「これならインドに帰ってからも同じ実験をしてみることができる」「これをうちの大学の修士課程で実習カリキュラムに取り入れたい」そんな声があがりました。
これらの言葉からも、本プログラムが参加者に与えたインパクトの大きさがうかがえます。

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NMRセッション
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研究所で試験管内繊維素溶解の実験

最終日にはプログラムの修了証書を宮崎大学医学部長から受け取りました。そして日本の科学技術と文化交流の忘れ得ない思い出とともに帰国しました。

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修了証書を手にした参加者たち