2017年度 活動レポート 第340号:東京海洋大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第340号

ミャンマーの水産学・海洋科学の発展に向けた微生物学の共同研究

東京海洋大学からの報告

2017年11月27日から12月7日まで、東南アジアのミャンマーから教員2名(ヤンゴン大学、モーラミャイン大学)および研究者1名(農業・牧畜・灌漑省水産局)の計3名を日本に招へいし、「ミャンマーの水産学・海洋科学の発展に向けた同国若手世代との微生物学の共同研究」を実施しました。このプログラム(共同研究活動コース)は2017年から3年間の複数年採択であり、今回が第1回目の実施になります。

本プログラムは、東京海洋大学がこれまでにミャンマーの大学・政府機関と構築した国際交流協定を基盤として、ミャンマーの水産学・海洋科学の若手研究者を対象に、微生物学の観点からその育成に貢献しようとするものです。

参加者は、夜遅くに羽田空港に到着し、翌日の午前中に東京海洋大学品川キャンパスにてオリエンテーションを受けた後、疲れも見せず、早速午後から微生物学の実験に取り組みました。オートクレーブを用いた培地の作製や無菌操作などを学びながら、微生物の培養を開始しました。数日間培養した後、寒天培地上のコロニーから画線を行い、純粋分離を行いました。

写真1
微生物培養用の培地を作製しているところ
写真2
寒天培地上のコロニーから画線を行っているところ

また、DNA解析に基づいて微生物種を同定するため、微生物培養液からDNAを抽出し、抽出したDNA濃度を測定した後、PCRによる16S rRNA遺伝子の増幅を行いました。続いて、アガロースゲル電気泳動により増幅産物を確認し、確認された増幅産物を精製しました。その後、サイクルシーケンス反応などを行い、DNAシーケンサーにて塩基配列の解析を行いました。解析した16S rRNA遺伝子の塩基配列データを基にして、データベースから微生物種の同定を行いました。さらに、微生物を染色して顕微鏡観察を行うなど、微生物実験における基本操作を学びました。

写真3
PCRによる遺伝子の増幅の準備を行っているところ
写真4
電気泳動による増幅産物の確認を行っているところ
写真5
顕微鏡観察を行っているところ

また、実験に取り組むだけではなく、本学のマリンサイエンスミュージアム(水産資料館)、研究練習船青鷹丸、ならびに海洋生物実験に関する実験設備の見学に加えて、お台場での日本科学未来館の見学も行いました。

写真6
研究練習船青鷹丸の見学
写真7
海洋生物実験に関する実験設備の見学
写真8
日本科学未来館の見学

本プログラムを通じて、参加者は微生物学の知識・手法について理解を深めるとともに、水産学・海洋科学も含めた日本の最先端の科学技術についても関心を寄せることができました。ミャンマーは約2,000 kmにも及ぶ海岸線を有している東南アジア有数の水産・海洋国です。本プログラムを出発点とし、ミャンマーの水産学・海洋科学の発展に向け、日本とミャンマーとの水産学・海洋科学研究における交流の橋渡しを担う人材を育成する一助となることを期待しています。

最後に、本プログラムの機会を提供して頂きましたさくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様にお礼を申し上げます。