2017年度 活動レポート 第335号:東京大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第335号

アジア7か国からの若手の教育・研修
-生物資源環境学入門コース―アジアのフィールドの多様性と研究-2年目

東京大学からの報告

人口増加と経済成長を続けるアジアでは環境破壊のリスクが恒常的に高く、森林、農地、沿岸域など環境の多様性を踏まえて、環境修復技術、環境調和型の生物生産技術を構築することが必要とされています。このような問題に関心を持つアジアの優秀な青年に対して、生物資源環境学の最先端を紹介し、持続可能なアジアの発展に対する理解を深め、専門的研究への動機付けを与え、さらに参加者間での交流のきっかけも作るという趣旨で、2017年10月14日から23日に、さくらサイエンスプログラム科学技術体験コースAとして、東京大学アジア生物資源環境研究センター(ANESC)が中心となってプログラムを行いました。

アジアの7か国の8機関(タミルナードゥ農業大学(インド)、インドネシア科学院海洋学研究所(インドネシア)、チュラロンコン大学(タイ)、南京農業大学(中国)、トリブバン大学(ネパール)、ベトナム国立農業大学(ベトナム)、マラヤ大学(マレーシア)、マレーシアサバ大学(マレーシア))から10名の向学心旺盛な若手研究員・大学院生(男性5名、女性5名)が参加しました。

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センター長よりアジアにおける地域計画学のレクチャーを受ける

プログラムでは、ANESCの研究室を見学し4つの研究プログラム(環境修復プログラム、地球規模環境問題対策プログラム、持続的地域資源利用プログラム、有用遺伝資源開発プログラム)の説明を聞きました。

写真2
環境制御温室でのアジアの樹木の湛水耐性機構の説明を聞く
写真3
アジア沿岸生態系における有害藻類の形態観察をする.

写真4
木材利用セミナーで議論する.

また、東京大学における国際交流の状況の説明、農学生命科学研究科への留学のための方法について、国際交流室よりガイダンスを受けました。

写真5
国際交流室より、今後の留学と研究交流のためのガイダンスを受ける.

続いて、東京大学農学生命科学研究科の3つの附属施設の見学を行いました。田無演習林では、日本の森林資源の変化と特徴、演習林の役割について講義を受け、様々な樹木や苗圃の見学を行いました。

生態調和農学機構では、エネルギー節約型の温室でのイチゴとレタス水耕栽培、柿栽培、農場博物館、UAVを使ったダイズの観測と系統選抜、大型農業機械の見学を行いました。

写真6
ダイズの系統選抜の説明を聞く
写真7
UAVによるフィールド観測のデモンストレーション

写真8
新型噴霧器と大型農業用機械を見学する

富士癒しの森研究所では、雨に濡れる紅葉の美しい富士山麓森林生態系を視察しながら、木材を利用した講義室・休憩場や薪ストーブを見学しながら、地域伝承知についての特別セミナーを聴講しました。また、富士山火山荒原植生遷移試験地での植生の回復と菌根の生態を視察しました。

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富士山火山荒原植生遷移試験地での記念写真

また、大学院の演習にも参加して、持続可能な農林水畜産業の様々な側面について、また大学附属施設の役割について、博士課程の留学生や日本人TAらとともにディスカッションをしながら、自分の学業・研究を紹介して、交流を深めました。

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東大の大学院生やTAと模擬演習でのグループディスカッション発表

将来の留学や研究での再来学への動機も高められ、寝食を共にした濃密なプログラムを通じて参加者の間での交流も深められました。ANESCメンバーと参加者、また参加者間の交流がFacebookページ等を通じて今後も継続されることを期待しています。