2017年度活動レポート(一般公募コース)第334号
中国若手研究者との研究交流—中国産天然資源からの医薬品シード探索—
大阪薬科大学からの報告
さくらサイエンスプログラムにより、2017年12月10日から12月19日まで、中華人民共和国の中国薬科大学から引率教員1名、大学院生4名、大学生2名を大阪薬科大学に招へいしました。本プログラムは、中国薬科大学の優秀な若い研究者達に対し、天然有機化合物の単離と構造決定について研修し、中国の未利用資源からの医薬品開発や、中国から日本へ留学する研究者の増加に貢献することを目的として実施いたしました。
天然有機化合物の単離・構造決定
天然有機化合物の単離のために、有機溶媒による溶剤分配、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、機器分析による構造決定などに取り組みました。
これらの作業は、大阪薬科大学の学生1~2名と、中国薬科大学の学生1名でチームを組んで行いました。両国の学生は基本的に英語で、ときにはジェスチャーを交えたり、スマートフォンの翻訳アプリを利用したりしてコミュニケーションを図り、協力して研究を進めていました。両国の学生にはよく笑顔が見られ、交流が深まっていることを実感しました。
天然有機化合物の単離操作
また本学では、天然有機化合物の構造決定に有用な、核磁気共鳴(NMR)装置、X線結晶解析装置などを保有しており、これらについて研修を行いました。中国人学生は非常に研究熱心であり、毎日、夜遅くまでNMRスペクトル測定をしていた光景が印象的でした。引率の先生から聞いた話ですが、中国人学生の中には、日本でずっと研究していたいと言っていた学生がいたそうです。
研究成果報告
中国薬科大学の大学院生が、研究成果を英語で発表しました。中国人学生の英語は非常に流暢であり、優秀であることを感じました。質疑応答は大変盛り上がり、今後の共同研究に向けて、有意義な時間を過ごすことができました。
施設見学
日本の科学技術や文化に触れることを目的として、神戸市立青少年科学館、大阪市立科学館、糖尿病専門医院見学を行いました。また、大阪城の見学も行いました。
プログラム終了後は、両国の学生は別れを惜しみながら連絡先を交換しており、両国の学生にとって、深い親交になったことを実感しました。アンケートでは、中国人学生の全員が、来日プログラムに満足、再来日したいという回答をしておりましたので、大変充実したプログラムになったのではないかと思います。今後、研究者として再来日し、活躍することを期待しております。
今回のプログラムを実行するにあたり、有意義な国際交流の機会を与えて下さったさくらサイエンスプログラムに、またご協力いただいた関係者の皆様に感謝申し上げます。
プログラム修了式