2017年度活動レポート(一般公募コース)第329号
パルス加速器等による放射線利用のための日越人材育成
長岡技術科学大学からの報告
目的
ベトナム政府原子力人材育成拠点として選定されているハノイ工科大とダラット大から前途有望な学生・職員を招へいし、平成29年12月4日~13日、長岡技術科学大学において放射線に関する共同研究を行いました。
我が国唯一のパルス加速器に関する研究センターである極限エネルギー密度工学研究センターを含む8研究室が加速器や放射線同位体の実験・計算テーマを提供し、放射線利用・照射損傷や原子力技術に関する研究活動を参加者に指導いたしました。特に本事業では、ベトナムでの滞在経験やベトナム人の友人を有する日本人学生と参加者が協働することにより、医療用などの放射線利用技術教育と若手技術者間のネットワーク構築を目指しております。そして、さらなる高等教育を望む者を発掘して本学修士・博士後期課程への入学を促すことを目的として事業を行いました。
内容
両校への周知の後、19名の若手職員・学生から参加希望がありました。この中から、GPA(Grade Point Average:各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値)と英語能力を鑑みて成績優秀者10名を選定し招へいしました。
参加者の来日後、学内の紹介と放射線を含む安全教育を行いました。その後、10名の参加者が8研究室に分かれて、以下の日程で放射線、原子力などに関する共同研究を開始しました。週末には、原子力発電所見学により放射線利用の実際に関する研修を行いました。さらに、本学ベトナム人教員・学生による長岡での学生生活を紹介いたしました。
また、休日の参加者は、かぐらスキー場でのスキー初挑戦、新潟ラーメンの濃厚スープ、およびコスメによる美肌体験など、日本生活の楽しさも経験しました。
日程
平成29年12月
4日 | 大学紹介、安全教育 |
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5日 | 8研究室での共同研究、懇親会 |
6-8日 | 8研究室での共同研究 |
9日 | 東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所見学 |
10日 | 長岡生活紹介、県内見学 |
11日 | 8研究室での共同研究 |
12日 | 発表準備、成果発表会 |
<終了時総括>
最終日の成果発表会の後、参加者全員が修了証を受け取り、無事本国に帰国いたしました。本事業の中で、参加者が本学の日本人教員・学生やベトナム人教員・学生と協働することにより、両国間の緊密な人的ネットワーク構築を行うことが出来たと考えております。
終了後の展開と将来の展望
帰国後、本学教員2名がベトナムを訪問し、フォローアップを行いました。この時および電子メールでの調査により、参加者10名中5名が本学進学希望を持っていることが判明しました。
本事業により、ベトナムの大学・研究所・事業者に供給可能とする、強力な大学間の関係構築が期待されます。