2017年度 活動レポート 第306号:九州工業大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第306号

インド チェンナイ工科大学の学生・教員招へい

九州工業大学大学院 情報工学研究院 機械情報工学研究系 田中和明さんからの報告

九州工業大学は、平成29年11月15日から11月24日までの10日間にわたり、さくらサイエンス科学技術体験コースにより、インド・チェンナイ工科大学から学生9名、引率教員1名の計10名を招へいしました。

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成田空港到着

実施責任者は、チェンナイ工科大学において組込みソフトウェアに関する講演とワークショップ(演習)を実施した経験を持ちます。この時の訪問を契機に、教員間での研究連携を開始し、2018年には組込みシステムの研究拠点(CoE)の設置にむけて協力することとなっています。また、部局間交流協定の手続きも進められています。このような経緯のもとに、最近のIT分野でのトピックであるIoTに関する体験型の演習プログラムを計画しました。日本の持つ組込みシステム(IoT)の最新技術に触れ、本学で実施するIoTのワークショップにより知見を深め、同時に日本文化を体験してもらうこととしました。

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横浜パシフィコET展示会

 

今回の活動の特徴は、限られた招へい期間での効果的な体験を目指して、3つのポイントに絞って実施しました。

(1) 日本の持つ組込みシステム(IoT)の最新技術に触れるため、国内最大の組込み技術展示会「Embedded Technology」(横浜)に参加する。実施責任者は、この組込み展示会へ技術展示を行っており、また、スペシャルセッションとして講演も行う。国内外の技術者が情報交換する場であり、先端の技術に触れることができる。11月15日~18日。

(2) 本学で実施するIoTのワークショップを通じて、簡単な組込みシステムを自分自身の手で作成し動かす。ある程度の試行錯誤が必要となるよう課題設定をしており、本学学生との協働作業の機会にもなる。11月21日~22日。

(3) 日本の文化を体験してもらうため、本学キャンパス近くの歴史的な史跡を見学する。キャンパスが位置する飯塚市は、明治から昭和にかけての大規模炭鉱があり、炭鉱に関連する史跡として大実業家の邸宅であった旧伊藤伝右衛門邸を見学する。また、学内での菓子作りも実施する。菓子作りでは、九州工業大学に在籍する日本人学生、留学生とともに文化体験を行う。11月20日。

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伊藤伝衛門邸
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和菓子作り
 
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ワークショップ

(1)の展示会では、日本の持つ最新技術に触れる良い機会でした。工科大学に在籍する学生であることから、基礎的な知識を持った上で最新技術を知ることは、技術の習得にとって効果的です。実際、展示会場では多くの企業展示を見学し、持ちきれないほどの技術パンフレットを抱えて帰ってくる姿を見ている。彼らの技術収集に対する姿勢を感じました。

(2)のワークショップでは、一人1台の小型ワンボードマイコンを使い、電子部品を組み合わせる教材を使った演習を行いました。教材を動かすためには、電子回路などハードウェアに関する知識と、マイコン内で動作する組込みソフトウェアに関する知識が必要です。彼ら自身は、知識としてそれらの技術は知っているものの、それらを組み合わせて動くものを完成させるという演習は初めての経験であったようで、試行錯誤を通じて彼ら自身のアイディアを具体化させることに取り組みました。

(3)の文化体験での炭鉱に関連する史跡の見学は、日本の近代化・工業化の道筋を知ることができるものであり、単に技術が進んだ国の日本という面だけでなく、その歴史を知ってもらうことができました。また、受け入れ機関の学生との菓子作りの体験は彼らにとって新鮮であり、交流の場となりました。インドは香辛料でよく知られますが、スイーツも好まれており、日本の和菓子作りの体験は思いのほか好評でした。

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プレゼンテーション
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送別会
 

今回の招へいでの体験は、チェンナイ工科大学の学生にとって日本の技術と文化を知る上での良い契機となったと確信します。