2017年度活動レポート(一般公募コース)第300号
長崎で学ぼう!~出島のくすりから先端創薬まで~
長崎大学からの報告
さくらサイエンスプログラム(科学技術体験コース)による招へいの支援も今年で2年目となりました。寒波の影響で長崎市内にも低温注意報が出された中、タイ王国のチュラロンコン大学の薬学部生・大学院生10名と引率教員1名が2018年1月22日から27日の約1週間、長崎大学薬学部を中心とした科学技術体験コースに参加しました。
登校初日の昼食を挟んで、自己紹介や長崎大学薬学部教員及びリエゾン機構教員による長崎大学や長崎の歴史の紹介が行われました。その途中に長崎ではめずらしくちらついた雪に、タイの学生さんも大喜びでした。
その後、薬学部に設置された下村 脩名誉博士顕彰記念館に移動し、ノーベル化学賞の受賞に繋がった下村先生の研究業績やゆかりの展示品を見学し、ひっきりなしの質問が説明に当たった教員に寄せられていました。また、薬用植物園、附属図書館をはじめとする長崎大学の施設見学も行いました。
夕方には招へい期間中に各研究室での講義を担当する教員やそれをサポートするTAの学生、留学生を交えて交流会が開催されました。生協食堂とはいえ、長崎オリジナルの食べ物や和食で話題もたいへん盛り上がり、交流も一気にはずみがつきました。
その翌日からは2日間にわたって、薬学部の有機系、生物系および物理分析系の研究室を訪問し、見学を行いました。講義は、典型的な医薬品の開発史やアルツハイマー治療薬の開発経緯、生理活性脂質を利用した動脈硬化治療薬の可能性、および蛍光現象を利用した分析試薬の開発と環境分析への応用などの紹介と解説でしたが、簡単な実習も交えた内容に学生も真剣かつ積極的に参加していました。
後半は、鳥栖市、久留米市に拠点を移しての内容となりました。まず、大塚製薬佐賀工場を訪問し、そこで企業紹介や健康ドリンクが完成するまでの工程を見学し、同じ敷地内にある佐賀栄養製品研究所で、「栄養」と「運動」をテーマにした解説を受けました。
同日午後には久留米市内にある日本赤十字社九州ブロック赤十字血液センターを訪問し、血液製剤の製造現場を見学したり、血液検査の解説に熱心に聞き入っていました。
最終日は、午前中、鳥栖市にある中冨記念くすり博物館を見学しました。チュラロンコン大学内にも立派な生薬の博物館があることもあり、生薬標本や日本のくすりにまつわる歴史、資料に学生も大変興味を覚えていたようでした。
その日の午後、鳥栖市内のホテル会議場において、長崎大学の教員2名を交えて研修報告会が行われました。報告会では、学生が前日までに苦労して作成した動画つきのスライドを用いて、学生一人一人が熱のこもったプレゼンテーションを行い、印象に残った事柄やプログラムの感想、留学を含む将来の希望等について報告がなされました。その後、各人に修了証と記念品のピンバッジが手渡され、全日程が有意義に終了しました。