2017年度 活動レポート 第284号:福井工業大学附属福井高等学校

2017年度活動レポート(一般公募コース)第284号

ワット・ラジャ・オ・ロス校とプルークパンヤ校の生徒との交流

福井工業大学附属福井高等学校からの報告

さくらサイエンスプログラムから採択をいただき、本校の姉妹校であるタイ王国のワット・ラジャ・オ・ロス校とプルークパンヤ校から生徒8名と教員2名を招へいし、2017年11月12日から18日まで交流を行いました。

本交流は「自動車における日本の最先端ものづくり技術」というテーマで、本校進学科創造科学コースで取り組んでいる「F1模型の企画・研究・設計・製作」での一連の工程を体験する内容としました。また、自動車に関して福井工業大学教授による講義と、自動車の生産現場の見学も内容に加えました。

1日目は午後に本校に到着し、福井工業大学の研究施設とF1模型を製作している本校の研究室を見学しました。

写真1
理事長あいさつ
写真2
大学施設見学

2日目の午前中は、石川県にあるジェイ・バス株式会社を見学しました。広い敷地と大型の製造装置に、参加者は驚いている様子でした。また、移動のバスの中で、参加者と本校生徒は言葉が通じない中、コミュニケーションを取ろうと努力している様子が見られました。

写真3
ジェイ・バス見学

2日目の午後から4日目の午前中まで、一班に参加者と本校生徒を混ぜた3班に分け、F1模型製作の一連の作業を体験しました。

内容は、(1)車体とホイールのデザインと3D-CADを用いた設計、(2)車体まわりの流れの数値シミュレーション、(3)CAD-CAMシステムを用いて、マシニングセンタによる車体と3Dプリンタによるウイングおよびホイールの製作、(4)車体のスモークトンネルを使用した流れの可視化、(5)完成した各パーツを組み立ててペイントし、F1模型を完成させました。

デザイン工程では、空気抵抗を考えて車体の形を工夫する班やデザインを重視する班など、それぞれの班で特徴ある車体をデザインしていました。

またCADでの設計では、本校生徒が参加者に使い方を教え、3Dの車体とホイールの図面を描きました。それをもとに、各班の車体まわりの流れの数値シミュレーションを行い、結果を見て修正点を確認しました。最後に、CAD-CAMシステムを用いて、マシニングセンタで車体の切削加工を行い、それの仕上げとペイントを行い車体が完成しました。

写真4
3D-CAD
写真5
マシニングセンタ

写真6
スモークトンネル

マシニングセンタで切削が終わり完成した車体を見て歓声がおこり、参加者の喜んでいる様子が伺えました。また、参加者と本校生徒が協力してつくり上げたことにより、両者の関係が深くなり、良い交流ができているように感じました。

6日目に、完成したF1模型に対して試走会を行いました。ガスボンベを動力とし、全長20mの直線コースでタイムを競うもので、県内の多くの報道関係者が来られ盛大に行うことができました。最も速いタイムは、1.221秒という好タイムで走行することができました。

写真7
完成F1模型

4日目の午後からと5日目は、福井工業大学教授による講義を行いました。テーマは、「自動車の排気管における振動の計算と、振動・騒音低減のための最適化」についてと、「次世代エンジンシステムの開発状況と、生物資源由来燃料の利用」についてです。

高度な内容でしたが参加者からは質問も出て、活発な講義の時間となりました。また、福井工業大学の実習の教員から、同校が所有する実習車(プリウス)を用いて最新のハイブリッドシステムについて講義を受け、参加者は興味深く実習車に触れていました。

写真8
大学講義
写真9
プリウス実習

最後に、参加者と本校生徒による意見交換会を行い、本校生徒と深く交流できたことがうれしかったという意見や、将来また来日したいという意見、今回の一連のプログラムで勉強になったという意見が多く聞かれ、大変有意義な交流となりました。