2017年度活動レポート(一般公募コース)第280号
インドネシアの若者が、福岡でエイジング分野の最先端研究・技術を学ぶ
福岡アジア都市研究所からの報告
インドネシア大学高齢化研究センターの協力を得て、当研究所はインドネシア大学、レスパティ・インドネシア大学、レスパティ・ジョグジャカルタ大学およびジャカルタ州立の高校から大学院生、学部学生、そして高校生等14名を2017年11月5日~11月12日の日程で福岡市に招へいし、大学や福祉施設などを訪問し、座学と施設見学を通じて日本の最先端の高齢者対応システム・技術(社会システム、ロボット技術など)に関するスタディツアーを実施しました。
日本政府はこれから「アジア健康構想」を進めることになっており、アジアのエイジング関連産業を担う人材を日本で育成して還流させることが重要と思われます。そこで、使命感を持ってエイジングへの取り組みを学びたい学生を招致し、日本で取り組まれている研究開発及びその実践現場の紹介等を通じて、近い将来各界で指導者となりうる日本との間のブリッジ人材を育てることを目的としたプログラムです。
座学に関しては、主として当研究所の研究員が世界と日本とインドネシアの人口高齢化をテーマに、インドネシア側の問題関心に沿って高齢者問題について講義を行いました。また、大学や各施設を訪問する際も大学の研究者や施設の担当者から全体状況を把握できるようにレクチャをしていただきました。
大学訪問については、中村学園大学では、日本の食育に関する講義を受けてから、栄養学研究科の学生とペアを組んで、健康食「一汁三菜」を試食し、研究室を見学しました。
九州大学では、芸術工学研究院の先生からインクルーシブデザインの基本的な考えや最新の動向について学びました。また、工学研究院では機械工学部門の先生からシステム工学分野での介護用ロボットの研究開発について講義を受け、研究室の院生たちによる実験デモを見学しました。
その関連で、糸島市・九州大学・住友理工(株)の3者連携による「九大ヘルスケアシステムLABO糸島(愛称ふれあいラボ)」も訪問し、介護用ロボットスーツを実際に装着したりして体験学習を行いました。
施設訪問については、福岡市健康づくりサポートセンター、福岡市立老人福祉センター 舞鶴園、福岡市民福祉プラザ(愛称:ふくふくプラザ)、福岡市民防災センターなどを訪問し、各施設では担当責任者による紹介を受けながら、高齢者たちと実際に触れ合うことを通じて、日本での高齢者の健康維持と介護の現状について学ぶことができました。
また、短い滞在期間中に、ユニバザールデザインの工夫が随所に見られるJR博多駅ビルや福岡市内の関連施設も見学し、日本文化の優れた一面に触れるとともに、福岡滞在を満喫していました。