2017年度活動レポート(一般公募コース)第271号
日中韓共同ワークショップを開催−材料科学を共通言語とする大学院生交流−
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻准教授 江島広貴さんからの報告
平成29年10月17〜21日の日程で、中国・清華大学から15名(大学院生10名、教員5名)、韓国・ソウル国立大学から15名(大学院生10名,教員5名)を招へいし、ワークショップ開催、お台場科学未来館/宇宙航空研究開発機構/国立研究開発法人・材料研究機構の見学会などを行いました。上記のうち、清華大学から5名、ソウル国立大学から5名、計10名の大学院学生をさくらサイエンスプログラムご支援のもと招へいしました。
学生主体のワークショップ開催
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻では、清華大学、ソウル国立大学のマテリアル工学専攻と共同で、毎年ワークショップを開催してまいりました。平成29年度は13回目となり、東京大学がホストとして本郷キャンパスで開催しました。近い将来にアジアの材料科学研究を担う若い世代の相互理解と協力関係構築を目的として、大学院学生が中心となって企画・運営を行いました。
10月17日に清華大学とソウル国立大学からのゲストが羽田空港に到着し、貸切バスでホテルまで送迎しました。18:00から歓迎会を行い、工学系研究科長大久保教授より歓迎の挨拶がありました。
10月18日9:30からワークショップを開始しました。東大を代表して森田教授、清華大学を代表してLin教授、ソウル国立大学を代表してShin教授の挨拶の後、集合写真を撮影しました。次に、鳥海教授(東大)、Park教授(ソウル国立大)、Lin教授(清華大学)からの招待講演がありました。
3件の招待講演後は、教員は全員退室し、学生の学生による学生のためのワークショップ開始となりました。国際的なワークショップでは、共通言語である英語で議論しなくてはなりません。母国語と比べてハードルが高く、英語に不慣れな学生は、特に教員の目があると議論に参加することを躊躇してしまいがちです。
教員としては学生が経験を積んでくれることを願っています。発音が悪くても文法が間違っていてもいいのです。英語での発表や議論に限らず何事も同じですが、「場数」に優る上達方法はないでしょう。司会進行も学生が担当することで、議論しやすい会場の雰囲気が生まれ、活発な議論が英語で交わされたそうです。
三大学それぞれの大学院生による研究発表は高強度金属材料から太陽電池・再生医療用の材料と広範囲に亘り、発表は2日間かけて行われました。
研究施設見学
10月20日は貸切バスでつくば市へ移動し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立研究開発法人・材料研究機構(NIMS)を見学しました。各訪問先で研究者から研究内容を丁寧に紹介して頂き、学生から多くの質問が出ました。20日夜の東京スカイツリー観光、21日午前の浅草観光で東京の古今を感じてもらった後、日本科学未来館を見学し、日本の最先端科学技術に触れていただきました。 21日夕方羽田空港にて、別れを惜しみつつ再会を誓って帰国を見送りました。
今回の5日間のプログラムを終え、訪日メンバーにアンケートを実施したところほとんどの学生が”Very satisfied”を選択していました。私たち受け入れ機関にとっても、本プログラムは素晴らしい機会となり、清華大―ソウル国立大―東京大の三大学間のネットワークはいっそう強固になったと感じております。今回の活動に多大なご支援を頂いたさくらサイエンスプログラムに心から感謝を申し上げます。