2017年度活動レポート(一般公募コース)第268号
マレーシア工科大学の大学院生が、分離膜の合成と評価について学ぶ
名古屋工業大学からの報告
さくらサイエンスプログラムにより、2017年11月5日~14日の間、マレーシア工科大学(以下、UTM)から、教員1名、大学院生10名が来日し、名古屋工業大学(以下、名工大)工学研究科において、セラミック分離膜用材料および燃料電池材料等の評価に関する研修を行いました。参加者は、成績、成果に基づく競争的選抜方法で選抜されており、本学にてさらに高いレベルの装置操作法や評価法を積極的に学ぼうとする学生達でした。
研修内容は、ナノ材料開発関係の諸研究室の見学、全学共通の高度機器分析室の見学、分離膜の合成と評価等について詳細を学ぶことです。実習項目としては、膜および粉体試料の調整から始まり、微構造形態観察では走査電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、透過電子顕微鏡を実習し、構造解析では結晶構造解析(X線回折法)、化学構造解析(赤外分光法、ラマン分光法)、極微細多孔構造解析(窒素ガス吸着法)、元素定量分析(燃焼分析法)など一連の研究開発手法を実習しました。
また、これらの実習の締めくくりとして名工大のスタッフも交えて成果報告会を実施し、UTM学生が自身の研究内容や研修の成果を報告し議論も行いました。報告会の終了後に各研修生へ修了証書とさくらサイエンスプログラムバッジが授与されました。また、タイトな研修スケジュールの合間を縫って、東京にある国立科学博物館の見学も行い日本の科学技術や文化の一端にも触れてもらいました。
◆ここでさくらサイエンスプログラム参加学生の声の一部をご紹介します。
・毎日が新しく興味深い経験がいっぱいでした。名工大のスタッフは研究室での評価実験を行う私たちを熱心に助けてくれました。
・私は自分で機器を取り扱うことができてとてもエキサイティングです。私にとって間違いなく素晴らしい機会です。
・このプログラムの最も貴重な体験は、評価実験が実践的かつ装置担当者と1対1で行えたことです。個人的には、これらの高度な装置での評価法を学ぶことによって、他の研究を参照する際に、評価結果のみではなくその分析実験の重要性を深く理解する助けになります。
・この交流プログラムは、日本の技術だけでなく文化に向かって私の目を開かせてくれるよい機会でした。それは他国への私の視点を広げ、同時に他の文化の美しさに感謝するのにも役立ちます。
・この訪問を可能にしてくれた名工大と科学技術振興機構に感謝します。このプログラムが名工大とUTMとの既存の協力関係をさらに強化すると確信しています。
本研修は短期間でしたが、学術的な材料の先端評価から、日本の科学技術・文化の一端にも触れることができ、大変有意義であったと思われます。
実習において先端装置を実際に操作でき、評価法に関する新しい知見を得ることができたという感想や、もっと長く滞在したかったなどの声が多かったことからも、参加者の研究心、向学心への刺激となったことがうかがえるものでした。
最後に、このような貴重な機会を与えていただいた、さくらサイエンスプログラムに心よりお礼を申し上げます。