2017年度活動レポート(一般公募コース)第263号
コマコンテスト協働作業による日中学生交流
九州工業大学大学院工学研究院 河部徹さんからの報告
2017年12月3日から12月12日の10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、中国東北大学から教員1名と学生6名(内1名は大学予算)、中国山東大学から教員2名(内1名は大学予算)と学生5名(内1名は大学予算)の合計14名(さくらサイエンスによる招へいは11名)が来日しました。
中国の東北大学と山東大学、日本の九州工業大学の双方の学生からなる混成チームを作り、日中両国の学生が彼らの知識を駆使して協働でコマを設計・製作した。最終日にはそれらのコマを使って、いわゆるけんかゴマと呼ばれる競技(コマ大戦)を行うことにより双方の交流を深めました。
12月3日に福岡空港に到着。そこから小倉駅までバスにて移動後、電車・バスの乗り方、ホテルから大学までの行き方など教示しました。
12月4日からは簡単なコマ大戦のルール説明、グループ分け(中国側2名と日本側2名を1グループとして合計6グループ)をした後、各グループに分かれてグループ単位での作業が始まりました。
コマ大戦は限られたスペース内で長く回転したものが勝利する単純な競技です。しかし、対戦相手を場外へ吹き飛ばすもの、対戦相手から回転をもらい続けることで長く回転するもの、相手の干渉を受けずに回り続けるものなど多くの戦略があり、その戦略に従った数多くのコマ設計が存在します。
設計だけでなく、設計通りにコマを製作できるかどうかは加工技術(例えばNC旋盤の性能など)によるところが多く、我が国の機械工学の優れた技術を示すものであり、全国の製造業を対象として、「全日本製造業コマ大戦」が広く実施されています。(http://www.komataisen.com/)
各グループでインターネットでの情報収集、コンセプトの決定および設計を終えた後、コマの製作に取り掛かりました。
通常、設計に関する講義では実際の製作を伴わない場合が多く、中国側もはじめて旋盤を使用する学生が多くいました。そのため、初期段階では製作が困難な設計をしてしまうことになります。
そのためTAを使って製作手順を一緒に相談しながら設計を進めてもらいました。設計を終えた後、実習工場の旋盤等を使用して製作を行いました。
実習工場では工作機械を扱う上での注意、図面の書き方等の指導をした後、製作が難しい部分は実習工場の職員にしてもらう部分はあったものの、自分の設計したものが自分の手で実際のモノになっていくことに楽しんでいるようでした。
製作の空き時間を利用して、中国の学生はTOTOの工場や官営八幡製鐵所の東田第一高炉、安川電気を見学しました。
さらに12月10日には企業も参加する全日本製造業コマ大戦 第五回 呉高専場所を見学しました。今後はこのような企業を含めた大会に出場できるよう日程を調整したいと思っています。
12月11日は製作したコマの発表会ともいえるコマ大戦を行いました。中国と日本の混成チームが6チーム、その他に九州工業大学で行なっている機械工学PBLのチームから2チームの合計8チームでコマ大戦を行ないました。
予選で勝ち抜いた4チームは、日中合同チーム2チームとPBLチーム2チームです。そしてそれら4チームがトーナメント形式で決勝を行なった結果、1位と3位は日中合同チーム、2位がPBLチームとなりました。
大会終了後は、中国および日本の参加学生、そして今回のプログラム実施に関わったスタッフとの懇親会、表彰式を行いました。中国からの参加者はこのさくらサイエンスプログラムで訪日ができ、本プログラムに参加できたことに大変感謝していました。
次の日の12日に帰国され、アンケートからも大変有意義なプログラムであったとの感想が多くありました。
最後に、本プログラム実施の機会を与えた頂いたさくらサイエンスプログラム、そして本プログラムの実施を支えて頂いた本学のスタッフの皆さんに深く感謝申し上げます。