2017年度活動レポート(一般公募コース)第262号
ミャンマー国の工学と農学を融合した新しい養殖技術の開発
‐魚介類養殖に必須の疾病診断技術の向上-
宮崎大学農学部教授 伊丹利明さんからの報告
ミャンマー連邦共和国の工学系大学生3名と教員1名並びに獣医大学院生1名を招へいして、同国の水産業、特に魚介類養殖に関する技術を工学と獣医学の立場から学習しました。
受け入れ側は、水産系からは、引間、田岡、吉田、伊丹の各教員ならびに工学系からはThi Thi Zin 教授が参加しました。これらの授業を通して、相互に異なる分野の問題点を認識し、各自の立場から解決策を考えるアクティブラーニングを研修期間全体を通して実施しました。さらに、サバイバル日本語授業を杉村教員におねがいしました。
大学登校初日には、本学の概要と工学部と農学部の研究科の授業内容等について、説明するとともに、奨学金や宿舎についても説明しました。伊丹による日本と世界における養殖魚介類の概要と将来の問題点等について話をすすめました。今回の研修の意義を理解するために、研修生間での論議を重点的に行いました。
講義の後、実際にエビと魚を用いた実験を実施しました。工学系の学生は慣れない手つきで解剖をしていましたが、我々の予想に反して興味深そうに手を動かしていたのが印象的でした。このような生物を使った実験は初めてだったので、大変新鮮に感じたとのことでした。
12月12日には学内のミャンマー人教員と留学生招いて、歓迎会を開催し、翌日には横田工学部長を表敬訪問しました。工学部Thi Thi Zin教授による画像解析による水産動物の行動様式について最新のデータを示しながら、今後の研究の方向性について学生と議論を深めました。
サバイバル日本語の授業では、杉村先生のノリのよい授業に学生が魅了されて、日本語学習に熱が入りました。帰国後も日本語の学習を継続したいとの意見が多かったようです。
修了証書を手に集合写真
12月16日には小林市に農家民泊に出かけ、日本の原風景である小林市の郊外の暮らしを楽しみました。1泊だけではありましたが、宿泊先のお父さんやお母さんと身振り手振りの交流から始まって、何とか意思疎通をし、最後は涙ながらのお別れとなりました。
18日には帰国のため東京へ移動し、目黒寄生虫館で魚介類の寄生虫について学習をしました。19日には成田空港からヤンゴンへ元気に帰国しました。
研修生は口をそろえて、今回の研修の成果が大きかったこと、とくに異分野との融合の大切さを身に染みて感じ、今後研究の上でも、自分の分野だけに閉じこもらず、間口を大きくしてさらなる研究に積極的に取り組みたいと感想を話していました。
最後になりましたが、今回の研修の機会を与えていただいた、さくらサイエンスプログラムには心からお礼を申し上げますとともに、ミャンマー側の都合で変更を余儀なくされた部分を丁寧に対応していただいた宮崎大学とJSTの担当の方々に心から厚くお礼を申し上げます。