2017年度活動レポート(一般公募コース)第255号
機械工学とメカトロニクスの先端に触れるインターンシッププログラム
東京理科大学理工学部教授 川口靖夫さんからの報告
さくらサイエンスプログラムにより、中国・西安交通大学の学部生10名・教員1名を迎えて、10日間(2017年11月19日~11月28日)のプログラムを実施しました。
外国人がもつ日本の印象は、高度・精緻に作られた日本製工業製品により形作られることが多く、もの作りを支える日本の機械工学には強い関心が寄せられています。一方、機械工学も在来のイメージから脱却し、エネルギー・環境技術、流体や機械部品のコンピュータシミュレーション、知能化機械といった多方面で高度化しており、そうした先端に触れる機会は、外国の若い学部生にとって貴重な体験となります。
受け入れに当たる日本人学生・院生と協働しともに学ぶことによって、両国の若者に国際人としての視野を育てることも目的のひとつです。
今回は西安交通大学の理工系学部から選り抜かれた学生達10名と教員1名を迎え、3日間のインターンシップを含む実質7日間のプログラムを行いました。
学生達の専門分野に応じて、理工学部機械工学科の5つの研究室に2名ずつを配属して流体実験、流体シミュレーション、材料シミュレーション、モーションキャプチャとVR技術といった機械工学の先端分野の課題に取り組んでもらいました。実験室では指導教員から丁寧な課題説明を受け、院生との共同作業をし、充実した日々を過ごしました。東京理科大学での教育・研究環境を体験し、また日本人の学生・院生と触れあえる機会になりました。
学生(J.Yさん)の報告書から取り上げて紹介します。
「この10日間の間、最も幸せな時間はインターンシップでした。プログラム日程を見た時に実験室での活動に進むのは本当にいやでした。無味乾燥で単調な研究生活が心に浮かんだからです。しかし岡田教授の研究室での3日間は私の想像を覆すものでした。研究室の日本人学生達はとても友好的でした。私が始めに研究室に入っていったとき、彼らが心易く話しかけてくれたので、緊張が解け気持ちが楽になりました。私がコンピュータシミュレーションの問題に取り組んでいるときに、熱心に手助けしてくれました。昼食を一緒にとっているとき、どうやって食事を買えばよいか教えてくれ、日本の文化について話してくれました。日々のいろいろなことが私達に深い絆を作っていきました。そして私達は別れがつらくなりました。本当に私はまたここに帰ってきたい。そしてこうした親切な友人達に再会したいと心から思います。」
来日した学生達はその他にも講義(日本文化、日中交流史)、日本文化体験(邦楽、剣道、茶道)、研究機関等の見学(火災科学研究センター、科学未来館)など様々な活動に取り組みました。帰国前日には報告会を行い、日本側の教員や学生達多数を前にインターンシップで得られた経験について発表し、暖かい励ましを受けました。
報告会でインターンシップの成果を発表しました
今回の学生受入により日本側の学生にもよい影響があり、両国の学生同士にも深い友情が育まれました。さくらサイエンスプログラムからのご支援に感謝いたします。