2017年度活動レポート(一般公募コース)第234号
マテリアル・アジアン・ネットワーク構築の第一歩
三重大学からの報告
2017年10月16日から10月25日までインドネシア・バンドン工科大学修士課程学生5名を招へいしました。
本交流プログラムでは、私達がこれまでに開発してきた「表面界面系ナノマテリアルデザイン手法」を基に、当該分野に強い興味を持つアジア地域の大学院生を招へいし、本学大学院生との共同研究に展開させることを目的としています。
本学到着後に開講式を、翌日に本プログラムの内容や日本滞在のオリエンテーション、材料科学と材料設計手法に関する解説、第一原理計算手法の講義を実施しました。
本学物理工学専攻修士院生の協力のもと、入力ファイルやプログラム実行のためのシェルスクリプト、データー処理のためのプログラムの作成など、UNIX計算機利用に関する初歩から実習を始めました。
3日目から、本学院生と省電力デバイス材料に向けた超薄膜・ナノスケール構造体の材料設計に関する意見交換会を行い、磁性超薄膜のバンド構造と垂直磁気異方性に関する共同研究テーマを設定しました。磁性超薄膜は次世代スピントロニクスデバイスの鍵となる材料で、自ら種々の材料のバンド構造を計算することにより、物性を系統的に理解することができ、また超薄膜における垂直磁気異方性を見ることができました。
後半では、工学科研究科内研究室(今西教授研究室)と卓越型「特異構造の結晶科学」リサーチセンター内研究室(三宅研究室)を見学しました。電池研究に関する歴史と展望などの解説を受け、実際にチャンバー内でリチウム電池を作製し、最先端の空気二次電池を使って豆電球を光らせ風車を回すなど、楽しく見学しました。
また、窒化物半導体について解説を受け、クリーンルームで窒化物半導体の結晶成長や光デバイス作成の現場を見ることができ、光エレクトロニクスの最先端に触れることができました。本学地域イノベーション学研究科主催の国際ワークショップにも参加し、工学研究科研究科長を表敬訪問しました。
本学教員・学生との交流会・懇親会を通して個人的な付き合にも至っています。土曜日には京都市を訪問しました。日曜日は伊勢市を予定していましたが、台風21号による記録的豪雨によりホテル待機という大変残念な日となってしまいました。
最終日には、バンドン工科大学のNugroho准教授が来校し、成果報告会とMIE-ITBジョイントワークショップを開催し、本プログラムを成功裡に終えることができました。
10日間は非常に短い期間でありましたが、最終目標である次世代のマテリアル・アジアン・ネットワーク構築の第一歩を踏み出すことができ、また両大学間で共同研究をスタートさせることができました。最後に、このような貴重な機会を与えてくださった、さくらサイエンスプログラムにお礼を申し上げます。