2017年度活動レポート(一般公募コース)第231号
日中台共同研究による太陽光で稼働するエネルギー変換材料の創出
大阪工業大学からの報告
2017年11月26日(日)から12月5日(火)までの10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、台湾の台湾科技大学 化学工程系大学院生4名ならびに中国の華東理工大学 化学・分子工程学院大学院生4名を大阪工業大学に招へいし、国際交流を進展させることができました。
華東理工大学大学院生は東本 慎也准教授の「無機光エネルギー化学研究室」、台湾科技大学大学院生は村岡 雅弘教授の「超分子研究室」ならびに、村田 理尚准教授の「エネルギー変換物質化学研究室」に所属し、それぞれの研究室の日本人学生とともに、「日中台共同研究による太陽光で稼働するエネルギー変換材料の創出」というテーマで、以下の3つについて研究実習に取り組みました。
1) インジウムフリーの銅-亜鉛-錫-硫黄系複合硫化物太陽電池をソフトプロセス法により作製し、太陽電池特性および物性の評価
2) 芳香族複素環化合物を基本骨格にもつ色素分子の合成と色素増感型太陽電池への応用
3) 有機薄膜太陽電池の活性層への利用が見込めるn型半導体材料の制御合成法の開発
学生たちは修士での研究とは異なり、非常に刺激を受け、その日の課題や実験内容を話しあい、また、論文を読み理解を深め、試行錯誤しながら熱心に実験をしていました。
本学での研究の合間には、学外研修・施設見学として、大阪府立大学を訪問しました。大阪府立大学21世紀科学機構ナノ科学・材料研究センターの亀川 孝先生からは、ナノ材料を応用した光触媒に関する基礎から最新の研究成果についてお話しいただきました。講演会では学生さんから多くの質問があり、大変有意義なディスカッションとなりました。同センターのさまざまな分析機器類を見学し、最新のエネルギー創出技術に触れました。また、午後からは最新の電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、測定の実習を行いました。彼らは最新の技術に驚いていました。
研究実習に勤しむだけでなく、リラックスタイムもありました。日本の伝統である茶道を体験し、また、研究室で一緒に実習に取り組んだ工大生が、台湾と中国からの大学院生を奈良、京都そして大阪の街を案内し、3か国学生間の親睦がより一層深まりました。
奈良では鹿とふれあい、仁王像がにらみをきかす南大門、大仏が建立されている東大寺の見学、京都では清水寺周辺の散策、着物の体験、そして大阪ではたこ焼き、お好み焼きの食文化を体験していました。
実習最終日には、研究グループごとにプレゼンテーションを行い、研究成果発表を行いました。英語での見事なプレゼンテーションで、参加大学院生のレベルの高さが実感されました。短い期間でしたが、それでも貴重な発見がありました。
10日間を共に過ごした日本人学生からは、「英語でのコミュニケーションはいい刺激になった!」とコメントがありました。また、台湾と中国の大学院生は、「研究実習を通して国際共同研究の重要性、日本の最先端科学技術を体験できてよかった、また日本文化にも触れることができて日本の良さがわかった」という喜びのメーセージを残して無事帰国しました。
最後になりますがプログラムを遂行するにあたり、多大なるご支援を賜りました、さくらサイエンスプログラムに心より感謝申し上げます。