2017年度 活動レポート 第224号:金沢大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第224号

実り多き、フィリピン・インドの若者との研究交流

金沢大学からの報告

金沢大学自然システム学類地球学コース(来年度からは、地球社会基盤学類地球惑星科学コースへ変更予定)では、海洋プレートの形成から消滅までを理解する総合研究を展開しています。

今回のさくらサイエンスプログラムで来日した学生は、フィリピンから2名、インドから3名、およびインドからは教員が1名参加しました。10月2日来日、10月22日に帰国するというスケジュールでした。

嬉しかったのは、昨年度のさくらサイエンスプログラムで金沢大学を訪問してくれたフィリピン学生の1名が、博士後期学生として10月から入学してくれたことです。今回は、来日数日で、学内の説明も終わらない時期に、先輩として参加してくれました。

議論の場を多く作る

今回は特に学生間、学生と教員間の議論の場を多く作ることを目的としました。そのため、金沢大学の学生の研究内容の紹介と、さくら学生の研究内容を簡単に紹介した後、さくら学生に関してはじっくりとゼミ形式で研究内容の説明をしてもらいました。

その中で、基礎が抜けている、もしくは論文の“うわべ”だけを使って議論が行われているとされた場合は厳しく対応しました。ゼミのやり直しです。今回、インド学生の1名は合計で3回のゼミ発表を行ないました。ほぼ滞在中は、思考の繰り返しだったと思います。

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セミナー開始前
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セミナー中の質疑応答

現場主義も大切に

北海道様似町には、海洋プレート深部を構成している岩石と同様な物質が広く好条件で露出しているため、2泊3日で巡検を行ないました。地表での変質を受けていない地球深部物質の多様性を観察することに慣れていない学生に、露頭や町が用意してくれている岩石庭園での立派な試料の前で、議論と説明を続けました。

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海洋プレート深部物質と類似した物質が露出する
北海道様似町の幌満カンラン岩体の調査
写真4
幌満カンラン岩体の有名なシマシマ露頭

学生からは、いろいろな考えが提案されます。やはり、さくら学生は積極的で、回答があっていようと、間違っていようと関係なく意見を出してきます。それに比べて日本学生は消極的です。この辺りの教育方法は、幼年期からの教育方法が大きく影響していることを実感しました。

天気にも恵まれ、予定していた重要な観察地点をじっくりと議論をしながら観察することができた。

議論と同時に、彼らの研究を進めるために本学が所有する分析機器を使用した最新化学分析を行ないました。これらのデータに関しても説明の発表を行い、今後の課題を明確にしました。

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本研究室で高水準で運営している局所微量元素分析装置を使っての研究対象試料分析

日本人学生との協力と交流

調査期間の食事は、日本の学生とさくら参加学生らが協力して準備することとしました。大人数の食事を予想しながら買い物を行い、共同で食事を準備することで、各国の料理事情を“肴”に学生が打ち解けていく様子を知ることができました。

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巡検中の食事の準備風景

期間中、学内の奉仕活動(清掃活動)、学生実験、学生の誕生日会なども経験することができました。

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学内の清掃活動にも積極的に参加。
本学中庭の一角を担当しました。
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学生実験(光学顕微鏡観察の基礎)にも飛び入り参加。
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今回の本研究室を代表して大活躍してくれた西尾君の誕生日会。
美味しいケーキにバースデーソングを歌いお祝いしました。

小学生向けの岩石標本作り体験への参加

今回の滞在中に、小学生向けの岩石標本作り体験が行われたので、さくら・日本の学生を共に連れて行き、体験させました。体験が始まる前に、参加した子供たちに、『君らの世代は、ここに来てくれている外国の方々と一緒に仕事をする機会が増えるよ。だから、積極的に話しかけてみて』と呼びかけました。

子供も保護者も積極的に話しかけてくれて、さくら・日本の学生にとっても息抜きと良い体験ができたのではないかと思います。特に、参加していたインドの教員は、日本でのアウトリーチ活動の一端を見ることができて、大いに関心を持ったようでした。

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石川県を代表する手取川で行われた、小学生の親子を対象とする石の標本作りの講師として参加

3週間という期間の中で、今後の共同研究の展望がはっきりした学生がいた一方で、それに至らずに悔しい思いをした学生もいました。この思いも大切だろうと思います。さくらサイエンスプログラムが、参加した学生と日本の学生との交流、自分自身の研究交流に役立ってくれることが楽しみです。