2017年度活動レポート(一般公募コース)第221号
スリランカと日本の科学技術が築く新しい未来像
群馬大学大学院理工学府教授 角田欣一さんからの報告
スリランカは国策として、モビリティシステムの高度化に力を入れていますが、その関連分野の高度技術者、研究者が不足しており、日本ースリランカの技術協力の発展が期待されています。
一方、群馬大学大学院理工学府(桐生市)は、地域に自動車産業が集積していることもあり、エンジン、電気自動車、騒音・振動などに関する多くの自動車関連研究者を有しています。さらに、本年度発足した同大学次世代モビリティ社会実装研究センター(以下「センター」)は、自動運転の社会実装研究の我が国の拠点の一つとしての発展が期待されています。
本プログラムは、今後の群馬大学とスリランカの技術交流の端緒をひらくことを目的に、スリランカ国総理府日本・スリランカ・共同包括的パートナーシップ(JCP)事務局の全面的な協力のもとに理工学府およびセンターが中心となり計画・実施しました。
招へい学生については、JCP事務局が、スリランカのトップ校であるモラトゥワ大学、ペラデニヤ大学、ルフナ大学から、電気、機械、情報などを専門とする学部3、4年生、各3名、計9名を選抜しました。また、引率者としてJCP職員のGunawardena氏も参加しました。
一行は10月14日早朝に来日し、JCP事務局のお世話のもと、成田山などを見学したのち、翌15日に桐生に到着しました。
16日の午前中に、群大の紹介を兼ねたセミナーを計画しました。当初は計画になかったが、Gunawardena氏から、招へい学生諸君のスリランカでの勉学についての自己紹介の時間をとってほしいとの要請があり、急遽、最初にお願いすることにしました。この発表は群大側の参加者に大変好評で、学生諸君のレベルの高さやその意欲的な姿勢に、群大参加者一同大いに感銘をうけました。
研修では、センター教員による自動運転の実習、理工学部教員によるロボット製作実習、Matlab講習、さらに電気自動車製作の桐生のベンチャー企業であるシンクトゥギャザー見学、 SUBARU(株)の工場見学などが実施されました。また、研修を通してアルバイトをお願いした、群大のスリランカ人留学生のSahan君をはじめとする留学生や日本人学生との交流も積極的に行われました。
一行は10月21日の朝、桐生をたち、再びJCP事務局のお世話のもと、スリランカ大使館への表敬訪問と成果報告、つくばの物質材料研究機構やJAXAの見学などののち、23日に帰国の途につきました。
雨と寒さ、さらには台風にも祟られた一週間で、南国出身の彼らの健康が大変気になりましたが、幸いにも悪天候をものともせず、研修に集中してくれて、担当者としては大いに安堵しました。
今回のプログラムが招へい学生の将来の飛躍のきっかけとなること、また、このプログラムがスリランカと日本の技術交流の促進に役立つことを願ってやみません。
最後に、このような貴重な機会を与えてくださったさくらサイエンスプログラム、さらにプログラムに協力していただいた関係各位に改めて感謝の意を表します。